音楽やデータ配信など、ユーザーにとって「お得」と感じられるようなサービスが多かったサブスクリプションサービスが、変容を始めている。単に「〜し放題」といったものから、リアル店舗との連携、ブランディングや、リピーター作りを狙うサービスも続々出ている。乱立するサブスクサービスで、生き残るカギはどこにあるのか。企業の取り組みに迫る。
今週上場したfreeeの波紋が後を引いている。freeeが提供する法人向け会計サービス内容の改定が今月上旬に発表され、これが実質“10倍値上げ“になるとSNS利用者の間で解釈されたためだ。
プラン自体の値上げはないものの、月額3980円(税抜)のベーシックプランで利用できていた「配賦」や「自動消込」などの13機能が2020年2月から制限される。これらの機能を使うためには、月額3万9800円(税抜)のプロフェッショナルプランへの加入が余儀なくされる(なお、個人向けプランに関しては、概ね増税分を吸収する程度の値上げにとどまる)。
そのため、freeeを導入していた士業や、中小法人を中心に、SNS上で批判が巻き起ったのだ。
安い月額利用料金でユーザーを獲得し、のちに値上げすることで収益改善を見込むという戦略は、サブスクリプション型ビジネスを展開する企業にとって既定路線といっても過言ではない。
米オンライン動画ストリーミングサービスのNetflixはこれまでに数回、月額利用料金を値上げしている。2019年1月には、スタンダードプランが10.99ドルから12.99ドルへ値上げされた。年間コストに直せば日本円で2600円程度の負担増となる。
この値上げにより米国のNetflixユーザーは初の減少に転じ、前年比13万人減の6010万人になった。しかし、米国で減少した13万人の会員は、米国会員全体のわずか0.21%だ。料金プランが18%値上がりしていることもあって、売り上げは大幅に成長。約23億ドルと前期比10%増となり、過去3期と比較して最大の伸び率になった。
10月に発表されたNetflix第3四半期決算をみると、北米のNetflixユーザーは、前期比52万人増の6062万人となり、再び過去最高を更新した。新規会員にとっては、従前の価格はそれほど意味を成さない。その時点の価格と得られるサービスを比較して、サービスに分があると消費者に判断されていれば、ユーザー減も一時的な影響にとどまるのだ。
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