債券は「バブル」なのか? 弾けたときに起こること(1/3 ページ)

» 2019年12月23日 07時40分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 日経平均は年初来高値を付け、米S&P500指数も史上最高値を更新している。株価の好調さに「上がりすぎではないか」と不安を抱く人もいるようだが、市場関係者の間でもっと懸念される「上がりすぎ」の資産がある。債券だ。

債券はいま「バブル」なのか?

 債券の価格は、基本的には利回りによって変動する。利回りが下がれば価格が上昇し、利回りが上がれば価格が下落する。そしてこの利回りが、ここ10年下がり続けているのだ。つまり債券価格は上がり続けていることになる。

日米独の10年国債利回りの推移(日経アセットマネジメントの資料より)

 債券の代表格が、国が発行する国債だ。この国債の利回りを基準(リスクフリーレート)に、発行元の破綻リスクなどを加えて社債などの利回りも決まる。国債利回りが下がり続けているということは、さまざまな債券の利回りも低下しているということだ。

 ではなぜここまで利回りは低下したのだろうか? 国債の中でも債券価格の指標として使われることの多い10年債国債の価格の決まり方を、アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏はこう話す。

 「教科書的にいうと、10年もの国債の利回りは、10年間について、市場参加者が予想する中央銀行の予想金利で算出される。10年の国債に投資した場合と、短期金利の商品に再投資を繰り返した利回りは同じになる」

アクサ・インベストメント・マネージャーズの債券ストラテジスト、木村龍太郎氏

 そして短期金利は中央銀行が決める政策金利との連動性が高い。先進国では、政策金利は安定的な経済成長と緩やかな物価上昇を目標として定めている。経済を、加熱もさせず失速もさせないところに設定するのが基本だ。例えば米国債の利回りを見ると、長期的にはGDPの伸び率を若干下回る数値で推移してきた。

 ところが、GDPに対して現在の利回りは低い。「日本、米国ともに経済環境が減速しているとはいえ、成長率でみれば堅調さを保っている。対して、10年もの国債の利回りは0%を下回る若干マイナス、米国も2%に届かない。経済成長のものさしからいうと低いところにとどまっている」(木村氏)

 つまり歴史的に想定されるよりも利回りが低く、つまり債券価格が上昇してしまっている。これが「債券バブル」ではないかといわれる理由だ。

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