債券は「バブル」なのか? 弾けたときに起こること(2/3 ページ)

» 2019年12月23日 07時40分 公開
[斎藤健二ITmedia]

債券バブルというより金融緩和バブル?

 こうしたことが起きる理由はなにか。過去の平成バブルやITバブル、仮想通貨バブルと、今回の債券バブルとの間には大きな違いがある。過去が投機的な、つまり値段が上がるから買うという動きの結果として起こったのに対し、今回は中央銀行の低金利政策によってもたらされた。

 中央銀行は、金融緩和の一環として量的緩和策で資金を供給して、信用不安やデフレリスクを食い止めようとした。それによって金融不安が沈静化したあとも、まだ金融緩和環境が続いてしまっている。巨額の資金が金融市場に供給されたが、それが高い利回りを求めて債券市場へと流れ込んだ。流入したことで債券利回りが押し下げられていくという状況が生まれたわけだ。

 この金融緩和はまだ続くという見方が多い。「19年、各中央銀行はさらに金融緩和方向に舵(かじ)を切った。米FRBは17〜18年は利上げをして金利正常化を進めていたが、貿易摩擦などによる経済の不透明感から、19年7月から3回利下げをした。ECBも9月に政策金利のマイナス幅をさらに拡大。日銀も、引き続きマイナス金利の拡大を予想する向きもある」(木村氏)

 カネ余りの状況の中、将来の利下げを見越して過剰な資金が債券に流入。さらに利回りを押し下げていく可能性もある。「債券バブルというよりも、金融緩和バブル、過剰流動バブルではないか」と木村氏は指摘する。

逆回転のシナリオ1:景気好調になって利上げ

 ではこの債券バブルが弾けると何がおきるのか。木村氏は2つの可能性があると話す。

 1つは、景気好調になったり、資産価格に過熱感が出たりしたときだ。こうなると中央銀行は金融緩和政策を終了して、利上げする正常化路線に踏み出す。この時は、国債を含め債券利回りが大きく上昇することになる。

 ただし木村氏はこの可能性は低いと見る。低金利の背景には政治があるからだ。「金融緩和政策が大きく修正される場合、国債利回りが上がるだけでなく、株式や不動産にも大きな調整が入る。米国でも、トランプ大統領による政治的なプレッシャーが、FRBの3回の利下げの背景にあると見る向きもある。日本でも中央銀行は、政権との間で協力してやっていっている。景気は支持率のバロメータになっているからだ」

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