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» 2019年12月27日 05時00分 公開

リニアを止める静岡県 川勝知事「ヤクザ・ゴロツキ」暴言問題の背景に「ハコモノ行政」検証・リニア静岡問題(2/4 ページ)

[河崎貴一ITmedia]

田代ダムから大量の水が流出

 静岡朝日テレビの「夕方情報ワイド とびっきり!しずおか」で、大きく取り上げたのは、桜井勝郎県議の県議会での一般質問だった。桜井議員は、島田市・川根本町選出で、大井川の延長168キロのうち、半分以上は桜井議員の選挙区を流れている。

 12月9日午後、桜井議員が登壇する前には、傍聴席はほぼ満席になり、テレビ局のカメラも中継のために2台入ってきた。

phot 川勝知事にリニア新幹線問題を問い質(ただ)した桜井勝郎県議

 桜井議員は、水で口の中をうるおしてから、熱く語り始めた。

 「最近、知事は、(リニア新幹線の)トンネル工事で発生する湧水を全量戻す件で、JR東海を糾弾していますが、関連する地域住民、企業、静岡市を絡め、一部報道機関までが知事の言い分に乗っかって世間の関心を呼んでおります。まさしく劇場型のパフォーマンスです。(中略)日頃からJR東海には、(東海道新幹線の富士山静岡)空港駅設置につれない対応をされて、憤懣(ふんまん)やるかたない知事。ここぞとばかりにJR東海をいじめる、またとないチャンス。その怒りをトンネル工事による湧水にぶつけたのであります」

 さらに、桜井議員は大井川源流部にある田代ダムの問題を取り上げた。

 田代ダム(静岡市葵区)は、1928年、大井川源流部の標高1380メートルの地点に建設され、現在の事業者は東京電力だ。ダムに蓄えられた水は、南アルプス山中に掘られた導水路トンネルを経由して、4.8キロ東の田代川第二発電所(標高643メートル。山梨県早川町)で発電し、さらに東方2.5キロの田代川第一発電所(標高508メートル。同前)で発電に再利用されている。発電後の水は、山梨県の早川に放流されている。つまり静岡県から見ると、県外に流出している水なのだ。

 その田代ダムで取水されている水量は、「毎秒4.99t」と、3日間で東京ドームを満水にするほど膨大な水量である。リニア新幹線のトンネルで「最大で毎秒2t」と予測される減水量の約2.5倍にあたる。

 川勝知事は、2016年7月、早川町を訪れてこれらのダムを視察し、大量の水が大井川から取水されている事実を認識していた。それには口を閉ざして、まだ工事が始まってもいない、リニア新幹線のトンネル工事による湧水だけを問題にし、トンネル工事をストップさせているのだ。

phot 山梨県側に水を放流している田代ダムの航空写真。©Google
phot 田代ダムからの導水路図。©Google

 桜井議員は、質問を続けた。

 「知事が『命の水』と言う大井川の水を、『一滴たりとも渡さない』と言いながら、あの田代ダムから山梨県側に流れているあの水も、あなたの言葉を借りれば、『われわれの命の水』ではないでしょうか」

 前述のように、JR東海が環境影響評価準備書に記した、「覆工コンクリート等がない条件で、“最大”で毎秒2t減水と予測」という減水量の予測を、川勝知事は、「常時毎秒2tの減水」と意図的に“拡大解釈”をして「毎秒2tの水は、静岡県民62万人の命の水」と危機感を煽ってきた。

 しかし、桜井議員は、「毎秒2tの水が静岡県民62万人の命の水と言うなら、現在、山梨県側に放流している毎秒4.99tの水は“静岡県民155万人の命の水”に相当する」と追及した。田代ダムから他県に放流される水量を問題外にしては、水問題を解決できないというのだ。

 桜井議員が質(ただ)した内容は、おもに次の6点。

  • リニア新幹線のトンネル工事によって、本当に大井川の水は減るのか。
  • トンネル工事の湧水は、その全量が、トンネル工事をする前に、大井川に流れていたのか。
  • 県の資料によれば、「南アルプスからの地下水が毎秒10tも駿河湾に流れている」とあるが、その水量の根拠は?
  • トンネル工事によって、「毎秒2t」の地下水が、(前述の)地下水「毎秒10t」から減水するのか?
  • トンネル工事によって、「生態系が壊滅的な打撃を受ける」と指摘するが、そう断定できるのか。
  • 静岡県中央新幹線環境保全連絡会議は、知事の賛成派ばかりで構成が偏っている。

 桜井議員は、各質問について、「科学的な根拠をお示しいただきたい」と知事に答弁を求めた。

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