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» 2019年12月27日 05時00分 公開

リニアを止める静岡県 川勝知事「ヤクザ・ゴロツキ」暴言問題の背景に「ハコモノ行政」検証・リニア静岡問題(3/4 ページ)

[河崎貴一ITmedia]

自治体は東京電力に発電用水利権の一部返還を求めていた

 「科学的根拠」という言葉は、JR東海が「減水量予測」や「(湧水を)全量戻す」と説明した際に、静岡県が求めてきた言葉である。それに対して、具体的な数字をあげて反論する以上、静岡県側も科学的根拠を説明する義務はある。

phot 桜井県議の質問に簡単に応える川勝知事

 これらの桜井議員の質問に対して、答弁に立った川勝知事はこう答えた。

 「田代ダムの水利権は、河川管理者である国土交通大臣から、発電取水のため、東京電力株式会社が許可された権利であります。リニア中央新幹線工事に伴う大井川流量減少問題とは異なる話であります。筋違いの話。

 万一のことを想定して、その担保として、東京電力の水を一部、取り戻すということを県が東京電力に交渉する問題ではなく、JR東海が県外に水を流出させないよう、責任を持って取り組む問題であります」

 田代ダムから山梨県へ流れ出ている水について、事業者でもないJR東海に「責任を持って取り組む問題」と押し付け、自らの役割を放棄する答弁をしてみせた。川勝知事が、答弁でリニア新幹線のトンネル工事について触れたのは、わずか約2分間だった。

 川勝知事が答弁で語ったのは次の2点だ。

  • 田代ダムの水利権を、静岡県が問題にするのは筋違いの話。
  • リニア中央新幹線のトンネル工事による減水こそ、静岡県が取り組むべき問題である。

 こういう川勝知事の答弁こそ、「筋違いの話」の可能性がある。

 最初の問題については、2005年、大井川流域自治体は、東京電力に対して発電用水利権の一部返還を求めたという前例がある。国交省・静岡県・山梨県・大井川流域自治体(静岡市・川根本町・川根町=当時)と東京電力の5者は、「大井川水利流量調整協議会」を結成して交渉をしている。

 桜井議員も質問の中で、「県も当時の石川(嘉延=いしかわよしのぶ)知事が東京電力の本社まで出向いて交渉し、その御苦労もあって、年平均毎秒約1tをなんとか取り戻したのであります」と、県が田代ダムの水利権に関係した経緯について触れている。当時、島田市長だった桜井県議も、この水返還運動に石川元知事とともに行動した一人だった。 

 2点目の「減水」に関しては、「トンネル工事で、減水はまったく問題にならない可能性が高い」と、中央大学理工学部の山田正教授(専門は河川工学)は話す。山田教授の科学的な説明については、次回で詳述する。

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