それなりの肩書のある(権限のありそうな)日本企業幹部が海外ベンチャー企業を訪問し、その独自技術や強みの説明に興味を持ったとしても、その場で提携やPOC(Proof of Concept、日本的にはトライアル)へ進むことを意思決定する人はほぼいない。大半が「持ち帰って検討する」という反応を示すことは、シリコンバレーだけではなく、イスラエルでもよく聞かれる「日本あるある」である。
筆者が過去12年間イスラエル人・企業と付き合った経験から言うと、最近でこそイスラエル人も日本企業の行動様式を理解するようになったものの、以前は、ビジネスに関わる日本側の何らかの意思決定を彼らが2カ月待つということはほぼあり得なかった(今でも決して多くはない)。
イスラエル企業の技術・製品に興味をもった日本企業が、購入や提携の意思を2カ月も示さなければ、イスラエル側はその日本企業は自分たちに関心がないものとみなし、他の可能性を探る。彼らにとっては、権限がある役職の人間が意思決定をしない、ということは理解し難い。
一方で、日本企業が時間を掛ける理由を、無論我々日本人はよく認識している。特に大企業では、たとえそれが余り高額ではない投資だったとしても、自社技術との親和性、競合他社比較、信用調査、コストメリット等々を十分調査・検討し、良い選択かどうかを議論した上で、関連部署を含む稟議を経て意思決定をする。
そこには、
という2つの要因があるだろう。
一方、イスラエル人(ユダヤ人)は、現在得られる情報を元にリアルタイムに判断し、日本人の得意な「先送り」をすることはない。なぜ日本企業は意思決定に時間を掛け、イスラエル人は即断ができるのだろうか? そこには彼らの長い歴史がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PR注目記事ランキング