しかし、女性の社会進出が進み、クルマの購入者が男性に限られなくなったこと、また、経済的負担によってクルマが売れなくなってきていることに鑑みると、高度経済成長期からの「男性に絞った」マーケティングやイメージ戦略は、有効だと言えるのだろうか。
クルマが売れない時代、趣味や嗜好に男女差が無くなってきつつあるこの現代において、女性コンパニオンを立たせる効力そのものにも疑問を抱かざるを得ない。
東京モーターショーを扱う関連記事を見ても、コンパニオンに対しては「男性必見」「イベントの華」という見だしが躍り、モーターショーが男性のためのイベントだと考える人たちが多いことに気付かされる。
が、女性である筆者自身、自動車製造に関わる工場を家族で経営していたためか、クルマやクルマを使って働いている人々を観察するのが小さい頃から好きだった。
また、自らも大型自動車免許を取得し、トラックで関東から関西を走り回っていた時代があるため、ブルーカラーの過酷な労働環境を知っているがゆえに、ことトラックにおいては、展示されたクルマの前にスカートとハイヒールを履いた女性が立っている意味が全くもって理解できず、同性の同型車運転経験者という立場から見ると、もはや不快ですらあった。
こうしたコンパニオン目当てに来場し、写真を撮る主に男性は、「カメラ小僧」を略して「カメコ」と言われたりするが、このカメコたちの存在も展示車を見る上では邪魔になることがある。中には、オープン前に設けられるプレスデーに紛れ込み、盗撮や赤外線カメラなどでの撮影をする悪質なカメラマンもいるため、メーカー側も頭を悩ませる原因になっている。
が、コンパニオンとクルマを一緒に撮影したその写真を拡散してくれる彼らの存在は、メーカーにとって有効な宣伝マンでもあるため、実際のところ、コンパニオンとカメコが社会とイベントの「つなぎ役」になっているのが現状なのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング