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マクドナルドとモスバーガー 「トマト」の使い方から見えた戦略の“決定的”な違いとは飲食店を科学する(2/5 ページ)

» 2020年01月22日 05時00分 公開
[三ツ井創太郎ITmedia]

マクドナルドの原価率は?

 公開されているマクドナルド(2018年12月期)とモスバーガー(2019年3月期)の直近の決算書から、両社のビジネスモデルをひもといていきます。

 売上高に関しては先ほど述べた通りです。一方、営業利益はマクドナルドが約250億円(営業利益率9.2%)、モスバーガーが約5億円(営業利益率0.8%)となっています。マクドナルドの営業利益はモスバーガーの50倍です(モスバーガーに関しては、18年8月に発生した食中毒の影響が大きく響いています。18年3月期の営業利益は約37億円です)。

 次に両社の原価率を見ていきます。マクドナルドの原価率は35.8%であるのに対して、モスバーガーの原価率は50.7%。両社の原価率には15ポイント近い開きがあります。

 ここまで大きな原価率の差がある要因として考えられるのが「野菜」です。皆さんも、モスバーガーといえば「野菜たっぷり」というイメージがあるかと思います。そして、マクドナルドと大きく異なるのが「トマト」の使い方です。

 モスバーガーのメニュー一覧を見てみると、トマトを強調したものが多くあることが分かります。一方、あまり気付かれていないようですが、マクドナルドの現在の通常メニューでトマトを使用しているのは「グラン クラブハウス」と「グラン ガーリックペッパー」の2種類のみです。いずれも、マクドナルドの中で特に野菜を前面に打ち出した商品であり、ある意味モスバーガーの対抗商品ともいえます。では、なぜマクドナルドではトマトを使ったメニューが少ないのか? その理由はトマトが高いからだと推測されます。

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