コラム
» 2020年01月23日 07時00分 公開

新人の育て方 第3回:新人の「分かりました」を信じてはいけない――仕事の精度が上がる「質問グセ」とは? (1/2)

新人育成のプロフェッショナルが語る、育成スピードを上げるためのコミュニケーション術。

[島村公俊,ITmedia]

 新人や若手の仕事の精度を上げるにはどうしたらよいでしょうか? 私たち指導者は日々忙しい中で、仕事を部下に依頼するシーンがあります。その際に指導者は、OJT(On-the-Job Training)で仕事を教えることになるわけですが、新人や若手は意外とその教えを理解しきれず、そのままにしてしまうことで、仕事の精度がなかなか上がってこないという状況があります。

 さらに問題なのは、新人や若手は、教えてもらった仕事内容を理解しきれていないと自覚しているにもかかわらず、質問ができずにいるということです。本当は質問をしたいのに質問ができずにいるという現状が、さらに仕事の精度を落としているのです。果たして、どうアプローチしたらよいのでしょうか。

新人の「分かりました」は、本当に理解しているのか(写真提供:ゲッティイメージズ)

新人の「分かりました」は、本当に分かっているのか?

 OJTにおいて新人に仕事を教えるとき、つい言いたくなるけれど、言ってはいけない指導者の禁句があります。それは「分かった?」というフレーズです。

 「分かった?」と聞かれると、気の弱い新人やプライドの高い新人は、仮に理解していなくても、つい「はい」と答えてしまいます。ましてや「もう分かったよね?」とか「これで分かったでしょ?」と強く言われたら、「分かりません」とは言えなくなります。

 新人は、「できない人だと思われたくない」「こんなに長く説明してくれたのに申し訳ない」「あとで調べればなんとかなる」などと思ってしまい、つい「はい、理解しました」と言ってしまうものです。ですから、新人の「分かりました」をうのみにしてはいけません。

 指導者は、常日頃、仕事に忙殺されていることが多く、新人の理解度までどうしても意識が及びにくいと思います。また、「自身が説明すれば新人は理解するはずだ。分からないことがあったら質問してくるだろうから、そうしたらまた説明すればいい」と思ってしまう指導者も少なくないでしょう。

 ところが、実際は悲しいことに、指導者が想像している以上に、新人は指導者の話を聞いていません。また、こちらが期待しているレベル以下の理解度であることも多いのです。

 教える側が思う以上に、新人は受動的です。教えてもなかなか理解してくれないものだと、最初から思っていたほうがいいでしょう。

 それでは、「分かった?」と聞かずに、新人の理解を確認するにはどうしたらいいのでしょうか? 簡単な方法があります。それは、OJTで仕事を教える前に、次のように前置きをしておくことです。

「レクチャーしたあとに、自分なりの言葉で内容を説明してもらうけどいいかな?」

 そしてレクチャーが終わったあとに、次のように伝えます。

「いま教えたところ、自分の言葉でポイントを説明してもらえるかな?」

 つまり、新人本人の口からレクチャー内容の重要ポイントを説明させるのです。こうすると、新人のレクチャーの聞き方がかなり前向きに変わります。レクチャーの内容を理解していればそれなりに説明できますし、分かっていなければあやふやな説明になります。

 指導者は「教えたから全部できるはず」と思い込まず、「教えたことが理解できているか確認してみよう」というスタンスでいるのが適切です。

 OJTで教えたことができないのは、新人の能力がないからだと早合点しないようにしましょう。「例年の新人に比べて、今年の新人は飲み込みが悪い」と新人のせいにしたくなる気持ちをぐっと飲み込み、自身がOJTで教えた内容をしっかりと理解しているかを確認することが、結果として仕事の精度向上につながります。

 このように仕事の精度の向上には、上記のような指導者側の質問グセによって、新人に理解を促進させることが大切になります。

  • 新人にレクチャーする前に

「レクチャー後に、ポイントを整理して伝えてくれるかな?」

       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセスランキング
  • 本日
  • 週間