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» 2020年01月30日 12時02分 公開

KAMIYAMA Reports:不透明なサイクルに対応するバランス型投資と、分散投資の正しい意味 (2/2)

[神山直樹,日興アセットマネジメント]
日興アセットマネジメント
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地政学リスクや米国大統領選挙などで、高いボラティリティは続きそう

 2020年に米中貿易摩擦が消えてなくなるとは思えない。まず、トランプ大統領の再選は磐石ではない。前回の大統領選挙でクリントン氏よりも得票数が少なかったトランプ氏が勝てた理由は、主要なスイング・ステート(両党の勢力が拮抗している州)で勝てたからだ。

 産業が衰えた州に、“中国の悪影響を受けている”と説明し、政策対応を約束した。中国への関税率を高めたが、このような州の雇用や景気が改善したとは言いがたく、有権者が成果を気にするなら選挙の行方は不透明だ。選挙戦が厳しくなると、トランプ大統領が冒険主義的に中東で軍事的な行動を起こす、中国からの輸入品への関税率を引き上げる、などと発言する恐れは残る。

 つまり、中東、中国、大統領選挙といったキーワードは、少なくとも市場が気にするトランプ大統領の発言といった観点からはひとつのまとまりといえる。経済は健全で、下院の過半数を民主党が占めていることから、トランプ大統領の打つ手は限られるだろうし、雇用や賃金、消費、貿易の経済トレンドを間違った政策で変えてしまう可能性はかなり低いが、市場は過敏に反応するかもしれない。

 このような環境を想定すれば、2020年の投資は、トレンドが健全とはいえ明確でなければ、市場心理が売り買いの判断を揺さぶることがあるだろう。それだけに、投資目的(基本)に戻ってポートフォリオの基本部分(コア)の投資比率を固め、文字通り心理でぶれないバランス型投資(=コア部分)を作っていただきたい。

誤解されている分散投資、その正しい意味とは

 株式が上昇(下落)するときに債券が下落(上昇)しやすいといわれる。バランス型投資で「分散効果」などというが、実際に債券と株式の両方に投資すると、互いに損益が相殺されて分散効果がないのではないか、と質問されることがある。また、リターンが高くなりそうな証券だけに「分散」すれば良いという意見もある。分散効果とは「あれこれ買うと、どれか当たる」という意味ではない。

 まず、分散効果の意味を正しく理解しておきたい。

 債券が7%のリスク(ばらつき)で3%のリターン、株式が20%のリスクで10%のリターンが期待され、債券と株式の相関が−0.3(マイナスは相互にばらつきを相殺)のケースでシミュレーションしてみる(実際の数値ではない)。

株式と債券の資産配分を10%ずつ変更した場合のリスク・リターンの分布(イメージ) 日興アセットマネジメント作成

 債券と株式を50%ずつ保有すると、期待リターンは真ん中の6.5%だが、相関を考慮すると、リスクは平均の13.5%よりも低く、ポートフォリオ全体のリスクは9.6%となる。これを「分散効果」という。つまり、投資対象を増やせば増やすほど、(通常、相関は1ではないので)「同じリスクなら期待リターンが高い」「同じ期待リターンならリスクが低い」となるのが効果だ。分散するほどリターンが高くなるという意味ではない。

 株式だけに投資すれば10%のリターンが期待できるが、両方持てば平均の6.5%しか期待できない。しかし、株式だけでなく債券にも投資した方が良いのは、価値保全部分があった方が良い、といった目的に依存する。儲かるようにバランスを取るのではなく、目的に合うようにバランスを取ることが大切になる。

筆者:神山直樹(かみやまなおき)

日興アセットマネジメント チーフ・ストラテジスト。長年、投資戦略やファイナンス理論に関わってきた経験をもとに、投資の参考となるテーマを取り上げます。

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