アピタ・ピアゴを“ドンキ化”したら周囲のアピタ・ピアゴが売り上げ増の謎進むユニーとドンキ流の融合(2/2 ページ)

» 2020年02月07日 12時31分 公開
[昆清徳ITmedia]
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転換していないアピタとピアゴの売り上げが増える謎

 2月6日に開催された記者発表会で、ユニーの関口憲司社長は「ある店舗をMEGAドン・キホーテUNYに転換したところ、周囲のアピタやピアゴの売り上げが増える傾向が強まっている。場合によっては10%増えたところもある」と説明した。

 なぜ、このような現象が起きたのか。ドンキ出身の関口社長は、日常的に使う食料品は価格の安いMEGAドン・キホーテUNYで購入し、お歳暮やお中元といったハレの日向けの商品やシニア向けの衣料などを周辺のアピタやピアゴで購入しているのではないかと分析している。アピタやピアゴを利用するお客の6割近くが会員カードを利用しており、その履歴から購買行動を把握しているという。

MEGAドン・キホーテUNY大口店

 こういった想定外の効果があったため、関口社長はアピタやピアゴを100店舗業態転換するという当初の方針に固執せず、温存する店舗が増える可能性もあるとした。

進むユニーとドンキ流の融和策

 PPIHはユニーの改革を急いでいる。完全子会社化から約1年が経過しようとしているが、当初は従業員の間で「ユニーは今後どうなるのか?」という不安の声が出ていたという。関口社長も「当初、社内の混乱はあった」と認める。ユニーの従業員に、PPIHの方針などが正確に伝わっていなかったことが原因のようだ。

 従業員への情報開示を進めるために、関口社長は19年に50〜60回、社員とのスモールミーティングを開催している。「社長に対してモノ申す会」という位置付けだという。また、19年10月には「社長室直行便」をスタートさせた。全従業員の声を直接社長に届ける狙いがある。これまで2000個近い質問や意見が寄せられたという。現在は、その意見や質問に回答している段階だ。

 関口社長はアピタやピアゴを「戦う店に変えていかないといけない」と意気込む。MEGAドン・キホーテUNYへの業態転換を進めるのはもちろんのこと、業態転換をしないユニーやピアゴの近隣に競合が進出してきても売り上げが落ちないように強化する考えだ。19年2月から従業員が“ドンキ流”を学ぶために、3カ月間ドンキの店舗で研修をしている。また、お店ごとに独自に商品を仕入れて、ポップを付けて、価格を決めるトレーニングも進めているという。人事制度も実力主義型に切り替えていく。

 ドンキで磨かれてきた「権限移譲」や「個店主義」の考え方は、ユニーにどこまで浸透していくのか。

MEGAドン・キホーテUNY大口店
MEGAドン・キホーテUNY大口店
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