大阪には、京都のような古都らしさはありません。落ち着いた風情・雰囲気の街というのは非常に格好いいし、インテリ受けするのでしょうが、大阪の街は落ち着いた風情・雰囲気が特色ではない。大阪の特色を格好つけずに、率直に捉えなければなりません。
大阪の特色について誤解を恐れず端的に表現すれば、「猥雑さ」「雑多さ」もっといえば「下品さ」です。この大阪の特色を他より抜きん出たものにすることによって、大阪の商品価値が高まるのです。つまり、大阪は世界一「下品な」街を目指していくということ。まあ「下品」というのは象徴的、過激なメッセージであって、その意図するところは皆さんには分かっていただけると思いますが(笑)、インテリたちは真面目に批判してきました。大阪市長が大阪を下品な街にしてどうする! ってね。
「文化の薫り漂う都市をウリにせよ」などと無責任に好き勝手なことを言ってくるインテリもいました。でも、僕としては大都市大阪の現状を直視しないで、現実からかけ離れたきれいごとをウリにしたくはなかったのです。
例えばニューヨークのタイムズスクエアは、あれだけ街の外観について徹底して無秩序を貫いているので、独特の雰囲気を醸し出し、それがウリとなっています。あの空気感に唯一無二の付加価値が付き、観光名所になっています。世界的なミュージシャンが大規模イベントを行い、世界中のニュースキャスターがテレビ中継を行い、大みそかのカウントダウンセレモニーには何十万もの人が集まります。
大都市のウリになるものは、上品な街、きれいに整備された街だけではないのです。むしろ大都市のウリの多くは大都市ならではの雑多さ、エネルギーです。世界中の大都市の観光名所や人を集める場所は、そのような繁華街であることが多い。
そこで僕は、大阪の繁華街の屋外広告物やネオンに関する規制を大幅に緩和することにしました。看板の形も色も原則自由にし、派手なネオンも原則OKとしました。それまで禁止されていた動画ビジョンも解禁しました。これは、外国人観光客が最も集まり、猥雑さ、雑多さの特色が最も強い「ミナミ」においての話です。大都市大阪の中心地「ミナミ」の「猥雑さ」「雑多さ」ひいては「下品さ」に、さらに磨きをかけたのです。
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