2019年に波紋を呼んだ、就活サイトの内定辞退率予測問題。背景には、企業と求職者の間に立ちながら、自らの利益も追い求める民間業者ならではのジレンマが潜んでいます。人手不足で労働市場が活況を帯びる中、人材サービスの存在意義はどこにあり、何が課題なのか? という問いを新卒、転職、派遣の3つから分析します
人材サービスという言葉から受けるイメージは、人によって大きく異なると思います。実際に人材サービスを利用したことがある人とない人、あるいは人材サービスを提供する側として携わった経験のある人とない人とでは、知っている情報も観点も異なります。
昨今の働き方改革では、労働基準法やパートタイム・有期雇用労働法、労働者派遣法といった法制度に注目が集まっています。人材サービスについても、事業運営において法改正の影響を受ける存在として話題にのぼるケースが多いようです。
人材サービスの事業運営に関わる法制度を巡っては、政局の中で交渉カードとして利用されているのではと感じてしまうほど極端な主張を目にすることもあります。そのため、何が正しい情報かが見えづらく、時にミスリードされ、世間一般の目からは人材サービスの実態が把握しづらいものになっているように思います。
一方で、人材サービスを提供している事業者には、法制度を順守しつつより良いサービスを提供しようと努力を重ねる企業もあれば、何とか法制度の縛りから逃れようとする企業、その中間で葛藤を続ける企業があります。
それらさまざまな要素が折り重なって映し出される人材サービス“像”ですが、突き詰めればその名が示す通り、数あるサービスの中の一種です。しかし、人材サービスならではの特徴を備えているために、他のサービスとは異なる印象を与えているように思います。
では、純粋に人材サービスが有する、サービスとしての“機能”にフォーカスしてみたとき、人材サービスの存在意義はどこにあり、何が課題なのか?というのが今回の問いです。逆から言えば、もし存在意義がないのであれば、人材サービスは社会にとって不要だということになります。社会に不要なサービスなのであれば、滅びるしか道はありません。
――ではそもそも、人材サービスという言葉は、何を指すのでしょうか?
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