連載
» 2020年02月10日 05時30分 公開

連載・「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?:活況の“転職市場”を支える「人材サービス」 企業が知るべきことと事業者が心掛けるべきこと (1/5)

2019年、就活サイトの内定辞退率問題で注目を集めた「人材サービス」だが、今その公益性が問われている。しかしながら、ひとくちに「人材サービス」といっても、その実態はなかなか分かりづらいのが現状だ。「人材サービスの公益的発展を考える会」を主催し、「人材サービス」に詳しい川上敬太郎氏が転職に関するサービスを解説する。

[川上敬太郎,ITmedia]

連載:「人材サービス」が滅ぶ日は来るのか?

2019年に波紋を呼んだ、就活サイトの内定辞退率予測問題。背景には、企業と求職者の間に立ちながら、自らの利益も追い求める民間業者ならではのジレンマが潜んでいます。人手不足で労働市場が活況を帯びる中、人材サービスの存在意義はどこにあり、何が課題なのか? という問いを新卒、転職、派遣の3つから分析します

 前回説明したように、人材サービスのパターンは大きく9つあります。その中でも、かかわる人全てにとってその機能が良い効果を発揮しているといえるのかどうか、表面的には分かりづらいのが、民間事業者が提供する労働力需給調整機能です。以後、民間事業者が提供する労働力需給調整機能に絞り、カッコ書きの「人材サービス」と表記します。

【参考記事】人材サービスが“社会の敵”にならないために 運営側、企業側、求職者全てが知っておくべき基本事項

人材サービス9分類(筆者が作成)

 今回、取り上げるキーワードは「転職」です。在職中に次の就職先を探して職場を移ることを「転職」、一度退職してから次の就職先に移ることを「再就職」と言います。しかし、ここでは再就職も含め、正社員と呼ばれる雇用形態などで長期安定的に働くことを目的に職場を移ることを総称して、転職で統一したいと思います。

 転職の際に利用する「人材サービス」の代表格は、求人媒体と人材紹介です。

 求人媒体には、古くから新聞広告や折り込みチラシがあり、今はスマホを使って求人検索、応募ができる求人サイトが主流になってきています。ただし、臨時のアルバイト探しなどとは異なり、転職の場合は、職務経歴などをしっかりと書き込む必要があります。そのため、検索はスマホで行っていたとしても、いざ応募する際にはPCの前に座って腰を据えて取り組む人が多いと思います。

 厚生労働省の「平成30年雇用動向調査」によると、転職した人の入職経路の1位は、求人媒体に相当する「広告」で26.8%です。2位は「縁故」で26.5%、3位は「職業安定所」で20.9%となっています。

意外と「縁故」が2位(雇用動向調査を基に筆者が作成)

 過去6年を見ても、「広告」はおおむね入職経路の1位です。求人媒体は、既に転職時に真っ先に利用するインフラのような存在になっていると言えます。一方、人材紹介に相当する「民営職業紹介所」は4.9%にとどまります。同じ民間事業者が提供する「人材サービス」ですが、求人媒体の利用者比率とはかなり開きがあります。

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