本人だけでは済まない! 就活セクハラという企業リスク(2/3 ページ)

» 2020年02月15日 07時11分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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素人面接官

 私はさまざまな企業で「面接官トレーニング」を行っています。面接は採用側が一方的に人物を値踏みし、一方的に売買する場ではありません。しかし心理的には、圧倒的に採用される側が柔い立場におかれており、採用者を代表する立場の面接官はともすれば勘違いしがちなものでもあります。

 特に新卒一括採用システムにおいては、今の時期から4月くらいまで、面接が目白押しで、およそ人員削減で担当者も少ないことが多い人事部門だけで面接を完結はできません。結果、役員や他部門の人間が臨時面接官としてかり出されます。通常はマネージャー職など役職者が担当することが多いのですが、これが大きなリスク要因となります。

 人事の専門家であれば昨今のハラスメント、コンプライアンスへの認識は十分あるはずですが、特に現場部門で社内の部下と接することが多い管理職の場合、ハラスメントやコンプライアンスに反する言動もナアナアで済まされることが少なくありません。それを部外者である就活学生にやってしまうと、取り返しのつかないダメージを会社に与えてしまうのです。

 そもそも面接とは何を聞き、どんなことを検証するためのものなのかを理解せず、バイト採用の要領で大学の話や趣味、特技などを聞いただけで「目の輝き」とか「オーラを感じる」というような非科学的なデタラメな根拠で採否の意見を述べる、全くもって面接官不適任な者が、恐らく相当数いるのではないかと私は予想します。

面接でのNG質問

 以下の内、採用面接においてNGな質問はどれでしょう?

「尊敬する人物は誰?」

「ご出身はどこ? 本籍は?」

「あなたのお父さんの職業は何ですか?」

「彼氏/彼女はいますか?」

「結婚/出産の予定は?」

 労働局などの「不適切な質問例」によれば、すべてだめです。思想信条や出自、男女雇用機会均等法などに触れる恐れがあり、何よりも本人に一切の責が及ばない情報によって採否を決めるという、きわめて不合理な質問だからです。

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