プロジェクトの1〜2割は金融機関から 地方金融機関との連携を強化するMakuake

» 2020年02月21日 16時38分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 クラウドファンディングを営むMakuakeは2月21日、地域金融機関32社との会議を開催した。「Makuakeの月間新規プロジェクトは250件以上だが、1割から2割は金融機関からの紹介になっている」。共同創業者の坊垣佳奈取締役は、こう話し、地域金融機関との連携強化を訴えた。

共同創業者の坊垣佳奈取締役

 Makuakeは地域の金融機関と提携し、地方に眠る技術や伝統事業を、クラウドファンディングを活用して活性化しようとしている。金融機関は、自行で通常の融資が難しい案件でも、クラウドファンディングを紹介することで資金調達を可能にしたり、事業性融資のための判断材料としてクラウドファンディングを利用するケースが増えている。

「差別化の手段として、クラウドファンディングは素晴らしい」

 京都の伝統である祇園祭りも、Makuakeでクラウドファンディングを実施したものの一つだ。それを主導した京都信用金庫の竹口尚樹 価値創造本部副本部長兼企業成長推進部長は、クラウドファンディングについてこう話した。

 「金融機関は、資金需要があれば自分たちで融資をしようという単純なことしか考えていなかった。我々も当時そんな意識が強かった。これは、よくよく考えれば自分たち目線。事業者目線が弱かった。融資につながらないような話は聞き流したのが10年前。今はなんとか力になりたい。京都は文化財も多いし、伝統的な産業をどう残していくのか。クラウドファンディングというのが活用できないかということで、結果、うまく成功モデルとなった」

600万円を超える調達を果たした「2019年京都祇園祭山鉾行事」のプロジェクト

 池田泉州銀行の細見恭樹 取締役専務執行役員は、銀行が生き残っていく上で、クラウドファンディングの活用は差別化につながると話した。「大阪は、周辺からたくさんの金融機関がマーケットに入ってくる、非常に競争が厳しいエリア。中小企業にわれわれを選んでもらおうと思うと、同じ提案ではダメ。金利競争するわけにもいかない。差別化の手段としては、本当にクラウドファンディングは素晴らしい」

Mskuake Bank Partnerとして表彰された、京都信用金庫の竹口尚樹 価値創造本部副本部長兼企業成長推進部長(左)、池田泉州銀行の細見恭樹 取締役専務執行役員(中央)、北海道銀行の疋田一晶執行役員(右)

 地域金融機関と連携して行うプロジェクトの課題は調達金額だ。Makuakeのプロジェクトの中には1案件で3億円以上を調達するものも現れているが、「金融機関からの紹介では大きな金額のプロジェクトはまだ生まれていない」(坊垣氏)。

 多額の金額を調達するプロジェクトでは、実行者が自らもネットなどで情報発信し、プロジェクトをアピールする力に優れていることが多い。地方発信のプロジェクトでは、そうしたノウハウが少なく、Makuakeの集客に頼りがちなのが要因の一つだ。今後は、地方の実行者にネット上でのプロモーション手法などのコンサルを行うことで、底上げを図っていきたいとした。

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