食中毒事件を乗り越えてモスバーガーが復活 消費増税を追い風にできそうな理由とは?長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/6 ページ)

» 2020年02月25日 14時50分 公開
[長浜淳之介ITmedia]

食中毒事件で不振に陥った

 モスバーガーが不振に陥った直接の原因は、「食中毒の影響」とモスフードサービスは考えている。

 18年8月、長野県の2店舗で腸管出血性大腸菌O121による食中毒が発生。同時期に関東・甲信地域の19店で、計28人が感染する事態となった。長野県の2店舗に関しては、翌9月の3日間、営業停止の行政処分が下された。

 これを受けて、同社ではパティ・加工野菜・生鮮野菜に関する扱いを再確認した。生産・検査・物流・店舗の全工程における温度管理といった衛生管理を見直し、再発防止のために徹底する取り決めを行った。

主力の「モスバーガー」

 店舗に関しては、施設・設備・食器・調理器具の清掃、洗浄、消毒を全国の店舗で実施。調理マニュアルの再点検、従業員の健康状態の確認徹底などの対策を講じた。

 売り上げへの影響はどうだったか。18年8月の既存店売上高こそ前年同月比97.7%と微減にとどまったが、9月には84.9%に下落。10月は85.1%、11月は87.1%と、3カ月間大した改善もなく推移した。

 19年に入ってからは徐々に上向きになり、3月にようやく102.3%、19年6月も100.0%とトントンになった。しかし、4月に94.2%、5月に98.5%、7月に93.4%という結果で、8月までは不安定に推移したことから「復調」とまでは言えなかった。

 同社は国産の生野菜にこだわるなど食の安全・安心に熱心なイメージが強い。それだけに、食中毒事件で信用を落としたのは間違いないだろう。

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