食中毒事件を乗り越えてモスバーガーが復活 消費増税を追い風にできそうな理由とは?長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)

» 2020年02月25日 14時50分 公開
[長浜淳之介ITmedia]
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ライバルの「ごはんバーガー」を歓迎

 しかし、「ライスバーガー」の開拓者はモスバーガーだ。1987年から導入され、特に海外店で人気が高い。特に台湾では、日本の3倍売れるそうだ。

 この突然のライバル出現に、モスフードサービスではむしろ歓迎ムードだという。

 「今までライスバーガーの存在を知らなかったお客さまもいらっしゃいましたが、一気に認知度が高まりました。売り上げは増えています」(同社・広報)。

 マクドナルドでごはんバーガーを食べた人が、今度はモスバーガーにも行ってライスバーガーを購入するケースが増え、相乗効果が出ている。実際、両者を比較する情報がネット上でも数多く見られ、ライスバーガーへの関心の高まりが感じられる。

 これは思わぬ追い風で、他社も参入してくれば、ライスバーガー・ごはんバーガーのブームがやってくるかもしれない。

 現状のライスバーガーは海老の天ぷら、海鮮かきあげ(塩だれ)、焼肉(店舗限定)の3種が販売されている。

モスライスバーガー 海老の天ぷら(417円)

 モスフードは19年3月期の決算で、残念ながら当期純損失9億700万円の赤字に転落した。

 しかし、20年3月期は一転。第3四半期までで、売上高520億8000万円(前年同期比3.6%増)、営業利益11億4100万円(同19.1%増)、経常利益13億900万円(同15.3%増)、当期純利益6億2200万円(前年は2億5600円の損失)と、回復を示す数値が並んでいる。消費増税など外食には不利な状況が続くが、今後の動向が注目される。

 持ち帰りとデリバリーが好調なモスバーガーでは、イートインのお客が減っても、それをカバーできるくらいの需要を創出できるポテンシャルを備えているのだ。

モスチキン(250円)。クリスマスシーズンによく出る
朝モス、朝のスタートプレート〈卵とベーコン&ミートソース〉、ドリンクセット(473円、店舗限定)、ストロベリージャム(19円)
ひんやりドルチェ ベイクドチーズ(167円)とブレンドコーヒー(232円)。コーヒーブレイクに良い組み合わせ。紅茶もコーヒーと同価格

著者プロフィール

長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)

兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。


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