「新型コロナウイルスの影響」一点張り 楽天が「送料込みライン一律導入」見送りを発表公取委の影響はあったのか

» 2020年03月06日 16時55分 公開
[鬼頭勇大ITmedia]

 楽天は3月6日、運営するECモール「楽天市場」で18日に導入を予定していた「送料込みライン」についてWeb上で記者会見を開催した。会見によると、18日の一斉導入を見送り、申請があった出店者に対しては無期限で対象外とする。

送料込みラインの一斉導入を見送ると発表。画像は野原彰人執行役員

 「送料込みライン」は、酒類などの一部商品や、沖縄県や一部離島を除き、税込3980円以上になる購入分については「送料込み」の価格で表示するよう出店者に義務付ける施策。この施策を最初に発表したのは2019年1月の楽天新春カンファレンス。以降、出店者らの意見を聞くなどしながら微修正を加えてきた。

 そもそもは分かりづらい送料表示を改めるための施策。だが、3980円以上の購入については別途送料がかからないというインパクトを重視して「送料無料ライン」という表現を使っていた。しかし、一部出店者らの反発や「優越的地位の濫用」に当たる恐れから公正取引委員会が調査に乗り出したこともあり、「送料込みライン」へと名称を変更した経緯がある。

楽天ユニオン、公取委の影響は……

 6日のWeb記者会見では、「新型コロナウイルスの影響」を理由に、申請を行った出店者に関しては送料込みラインの導入を無期限で見送る。「感染拡大によりリモートワークする企業が増えてきているが、店舗さんや物流業者の方はなかなかリモートには移行できない」と担当者は話す。

 対象外を希望する出店者は、専用フォームから申請できる。今回の見送りについて、出店者らの任意団体「楽天ユニオン」の反発や、公正取引委員会の調査、緊急停止命令の申し立ての影響を問われると、「新型コロナウイルスで困っている店舗さんの声が上がってきている。こうした状況でもやる、という方がおかしい」(野原彰人執行役員)など「新型コロナ」の一点張りだった。

 申請のなかった出店者に対しては、予定通り送料込みラインを適用する。適用によって利益に影響が出る恐れがあることから「安心サポートプログラム」という支援策も発表。「『共通の送料込みライン』対象の配送方法の注文における『利益額』および『送料差額』を対象として支援額を決定」と説明しているが、詳細は明かさなかった。

「セーフティーネット」として支援策を用意

 これまで楽天側は、「送料込みラインの導入によって出店者らの売り上げが向上する」と主張してきたが、それであればこうした支援策は不要なはず。この点については「あくまで不安を解消するための『セーフティーネット』の意味合いが強い」(担当者)と答えるにとどまった。その他、物流面での支援策も講じていくという。

物流面でも支援策を用意する

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