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指示を出すたびに「フリーズ」する新人を効率的に育てる方法新人の育て方 第5回(1/2 ページ)

» 2020年03月13日 08時00分 公開
[島村公俊ITmedia]
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 指導者であるあなたが指示を出して、新人が「フリーズ」してしまうことはありませんか? 新人は入社が浅い時期だと、上司や先輩からの指示内容を瞬時に理解することができません。また、相手からどのレベルで仕事を求められているかも把握できないことがあります。

 すると新人は、指示を受けるたびにうまく理解ができず「フリーズ」してしまい、自信をなくしてしまうのです。このような場合、どのように新人を指導したらよいでしょうか。本連載の最終回では、指針を与えて新人の「フリーズ」を防ぐというテーマで進めていきます。

新人の「フリーズ」を防ぐには?(写真提供:ゲッティイメージズ)

自分に何が求められているのか、粘り強く確認するクセをつけさせる

 新人が入社して半年ほどたったころ、私が参加する会議で新人がプレゼンテーションをする機会がありました。プレゼンは無事終了したのですが、とある他部署の方が会議終了後に新人の所にやってきて、次のようなことを伝えました。

他部署の方 もう少し見やすい資料を作ってもらえないかな?

担当の新人 は、はい……(フリーズ)

 あなたがもし、このようなシーンに出くわしたら、新人にどう指導をするでしょうか。このシーンで新人に伝えなくてはならないのは、他部署の方の表面的な言葉を理解するだけでなく、相手が求める期待値や要望を積極的に確認すべきということです。

 新人の「フリーズ」を防ぎ、自ら育つ体質に改善するには、新人自らに、自分が求められていることは何かを正確に知るために、粘り強く確認するクセをつけさせなくてはなりません。

 要望を聞き返すのは、新人にとって勇気のいることでもあります。しかしその恐れを克服し、依頼者のために正確に要望を把握するのだという強い思いを持たせなくてはなりません。いつまでたっても要望が把握しきれないと、修正が多くなり、より多くの時間がかかってしまうのです。

 もちろん、言葉で情報をやりとりする以上、お互いの認識にズレが生じるのは当たり前です。ですが、なるべく1回で依頼者の要望をつかめるように指導してください。

 例えば、「もう少し見やすい資料を」という要望は、漠然としています。「何をもって見やすいとするのか」は、人によって認識が異なります。「円グラフから棒グラフにする」ということかもしれませんし、「メッセージをもっとシンプルにする」ということかもしれません。

 新人は先輩からの突然の指示に驚いてしまい、つい「かしこまりました」と反射的に答えてしまいがちです。しかし、「見やすく」という言葉の意味はいろいろな捉え方があるので、額面通り受け取ってしまってはいけないのです。それではどのようにすればよいのでしょうか。

「メッセージを盛り込みすぎていましたか?」

「グラフを多用しすぎていましたか?」

「色数が多くてかえって見づらくなっていましたか?」

 このように、こちらの推測を投げかけてみて、相手の明確な要望を探ることが大切です。そうすると、相手も「その通りだよ」とか、「違うよ、あの場合は、円グラフより棒グラフにしたほうがいいと思うよ」など、アウトプットの着地点をより具体的に話してくれるのです。

 このように、新人自ら仮説を伴った質問を相手に投げかけることはとても大切です。仮説は、自ら考えなければ立てられないので、主体的な人材を育てるのに最適です。なかには、「このような小さなことを意識することに意味があるのか」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし新人に考える時間を積み重ねさせることが、一人前への近道なのです。そもそも、まとまった育成の時間をとれないからこそ、小さな時間を積み重ねる必要があるのです。

匠の時短質問

  • 仕事の依頼者に対して、新人による要望の確認が不十分だったとき

「依頼者の要望をもっと正確に把握しないと、結果的に迷惑を掛けることにならないかな?」

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