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指示を出すたびに「フリーズ」する新人を効率的に育てる方法新人の育て方 第5回(2/2 ページ)

» 2020年03月13日 08時00分 公開
[島村公俊ITmedia]
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会社の行動指針を意識させると適応スピードが速まる

 新人の「フリーズ」を防ぎ、新人を「自ら育つ」体質に改善するには、会社の行動指針を理解させることも大切です。会社が大切にしている指針を理解できれば、その分、フリーズせず、主体的に行動できる可能性が高まります。

会社の行動指針を理解させることも重要(写真提供:ゲッティイメージズ)

 例えば、チャレンジを求められる会社で、必要以上に慎重すぎる行動をとってしまう新人は、組織に適応しづらくなる可能性があります。そんなときは、指導者が新人に会社の行動指針を意識して行動するように指導することで、組織への適応スピードを格段に速められます。

 私が在籍していたソフトバンクでは、ソフトバンクバリューという行動指針があり、「No.1」「挑戦」「逆算」「スピード」「執念」の5つが掲げられていました。私も新人を指導する際には、この点を意識して質問を投げかけていました。質問を投げかけるタイミングは、新人が会社の求める行動指針にそぐわない行動をとったときです。私が経験した例を紹介しましょう。

(例1)

 それでは、企画書の作成をお願いします。

新人 2週間ぐらい時間をいただけますか?

 会社が求めているスピード感だと、最短でどのくらいで提出できそうかな?

新人 1週間でやってみます

(例2)

新人 こちらの企画案でいかがでしょうか?

 なかなかいいね。ちなみに、No.1のレベルの企画に引き上げるには?

新人 少し考えてみます

 このように会社が求める行動指針を問いかける質問も、やりとりにそれほど時間はかかりません。ポイントは、会社が求める行動指針を1日も早く身につけさせるために、毎日繰り返し行動指針を問う質問をしていくことです。

 1つの質問を愚直に積み重ねていく地道な努力が求められます。なぜなら、新人の行動を習慣化させるには、ある程度の時間が必要だからです。ストラップに行動指針を書いた紙を入れるだけでは、行動の変化は生まれにくいのです。

 また、毎日の質問は、会社が大切にする行動指針を思い出させるリマインド効果にもつながります。あなたの会社にはどんな行動指針があるでしょうか。もしくは、あなたの仕事のポリシーとして、どんな行動指針を大切にしているでしょうか。

 それらの大切にすべき行動指針を新人に伝え、毎日の質問リストにぜひ付け加えてください。新人の会社への適応は格段に速くなり、早期に活躍できる人材になることでしょう。

匠の時短質問

  • 新人が会社の行動指針に沿った行動がとれていないとき

「会社の行動指針を考えると、どう行動すべきかな?」


 以上、指針を与えて、新人の「フリーズ」を防ぐ方法についてお伝えしました。新人には、仕事の依頼レベルを丁寧に確認させたり、また、会社の行動指針に沿って行動させる習慣を早期に身につけさせてください。新人はきっとあなたのサポートでより成長し、チームに貢献する人材になるはずです。最後までお読みいただきありがとうございました。

著者プロフィール・島村公俊(しまむらきみとし)

 人事系コンサルティング会社を経験後、2006年ソフトバンク(旧ボーダフォン)入社。ソフトバンクユニバーシティの立ち上げ参画し、研修の内製化をリードする。

 日本HRチャレンジ大賞人材育成部門優秀賞、ソフトバンクアワードの受賞をはじめ、アジア初で米国教育機関よりPike’s Peak Awardを受賞。その他、千人規模の新人研修やエルダー(OJT、メンター)教育にも携わり、新人、若手の早期育成にも貢献する。

 2015年に講師ビジョン株式会社創業。社内講師の育成トレーニング、OJTトレーナー研修、新人研修などを提供する。近著に『10秒で新人を伸ばす質問術』(東洋経済新報社)がある。


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