なぜあの商品は売れた? 行列研究所が謎に迫る
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» 2020年03月17日 05時00分 公開

食の流行をたどる:飲んだ後のシメが「パフェ」や「ステーキ」!? 独自すぎる地域のシメグルメ、そのビジネスチャンスを探る (3/4)

[有木 真理,ITmedia]

沖縄ではシメにステーキ

 沖縄県では、シメといえばステーキ。1日中行列を作る人気店から、地場のチェーン店までステーキ店が軒を連ねる。1972年に米国から日本に返還されてから50年経っていない沖縄。いまだ米国文化が残るこの地で、独自に進化を遂げている。深夜には、現地在住者から観光客まで「それじゃ、シメにステーキ食べて帰ろうか?」と赤身のステーキをほおばるのである。

沖縄でシメといえばステーキ

 ここまでに紹介したご当地のシメグルメについて、一度は耳にしたことがある方も多いのではないだろうか。しかし、各地には「ご当地グルメ」とは言い難いが、人気のシメグルメが存在する。

 例えば、金沢には「やっほー茶漬け」と呼ばれる世にも不思議な店がある。お茶漬け専門店なのだが、入店、食事の前後、退店まで、店主もお客さんも「やっほー」としか口にしてはいけないのだ。「お茶漬けください→やっほー」「お待たせしました→やっほー」「おかわり→やっほー」といった具合だ。正式な店名は「志なの」だが、「やっほー茶漬け」として名を馳せている。

 その他にも、高知の屋台ギョーザや六本木のかき氷など、「なぜここでこのメニューが!?」と驚くシメグルメが存在する。

ご当地シメグルメがブームとなる背景

 さて、さまざまなご当地シメグルメを紹介したが、もともと1店舗だけで提供されていたシメグルメがご当地グルメ化され、東京に進出したり、全国区で展開されたりするケースがある。このメカニズムとブームとなるセオリーを、北海道のシメパフェを事例に解説したい。

 札幌で夜な夜な行列ができるシメパフェの草分け的存在といっても過言ではない「夜パフェ専門店 パフェテリア ベル」が2017年に東京・渋谷に開業した。そして、シメパフェ専門店だけでなく、深夜まで営業している銀座の老舗喫茶店のパフェにも注目が集まっており、東京でもちょっとした“シメパフェブーム”が起こっている。

 このように、ご当地グルメが拡散される要素はなんなのだろうか?

札幌のシメパフェ情報を発信するWebサイトもある(出所:札幌シメパフェ公式Webサイト)

 まず必要なのは、なんといっても話題性のあるお店の登場だ。夜パフェ専門店とはなんともキャッチーな業態名である。カフェでもない、スイーツショップでもない。しかも、パフェ専門店でもなく、夜パフェなのである。ここには人気店となる重要な要素が3つ含まれている。

 1つ目は、専門店化だ。競争の激しい飲食業界にとって、一点特化の専門店は「勝ち筋」の1つだ。そして2つ目に、ターゲットとシーンの明確化がある。お酒を飲んだ後の2軒目に、シメとしてのシーンで、バーでもカラオケでもなく「お茶をする」カスタマー層を取り込んだ。3つ目の要素は、ギャップや驚きだ。「なぜ寒い北海道でパフェ?」「なぜ深夜にパフェ?」といったギャップからくる驚きが、見た目だけではない「映える」要素として、SNSでも拡散されていったのだ。

 1店だけの繁盛店がご当地グルメにまで昇華するメカニズムはどうか。これは、「まねる」ことだ。近隣の飲食店が、行列のできる人気店のメニューをまねることで、人気メニューを提供するお店が増え、ご当地グルメとなっていくのだ。

 一方で注意も必要である。地域の気候、歴史、習慣などとの関連性が薄いものはご当地グルメになりにくい。北海道のシメパフェについては、生乳の生産量が多く、ミルクやアイスとの親和性が高いとともに、寒い地域ほど室内を温かくしているため、シメパフェが北海道のご当地グルメとなる条件を満たしているのである。

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