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テクノロジーは社会をどう変えるか――トヨタ、ソニー、デルタ航空にみる「モビリティ時代」の波(2/2 ページ)

» 2020年03月26日 08時00分 公開
[本田雅一ITmedia]
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テクノロジーで変化する街作り

 モバイル時代の社会変革もさまざまな粒度で起きてきたが、モビリティ時代の社会変革はさらに幅広い粒度で拡がっていくと予想される。

 ソニー・吉田社長へのインタビューでも、最終的にはスマートグリッドとモビリティの接続といったことまで言及されていた。これはあらゆる経営者が意識していることだろう。環境への対応は必要不可欠だからだ。単純に製品レベル、ネットワークレベルにとどまらず、社会基盤や都市基盤とつながっていき、新しい価値創造が行われるのがモビリティ時代だ。

 すでに中国では自動運転技術を前提として、住空間と人が行き交う階層、物流階層などを分離した都市計画が実行に移されている。トヨタも東富士工場跡に建設するスマートシティー「TOYOTA WOVEN CITY」を発表した。自動運転や自動配送技術を使った多階層の都市計画は、中国政府あるいはGoogleが構想するものにも通じている。

「TOYOTA WOVEN CITY」を発表するトヨタの豊田章男社長

 トヨタはまず、自社社員が住む街として、そこでデータを収集し、より快適な街作りへとつなげていく計画のようだ。トヨタの作った映像から想像できるように、未来の街はその形が従来とは大きく変わる可能性がある。街の形が変われば人の動線は変化し、人の動線が変化すれば、変化する事業もたくさん生まれる。

 モバイルの時代には位置情報や決済機能などを用い、シェアリングエコノミーが発展したが、街全体が変化するならばもっと広範囲の影響が出るだろう。トヨタが街作りから始めるのも、まずは作ってみなければ、新しい価値を生み出すアイデアが生まれないからではないか。

 5Gサービスが日本でも始まり、モビリティ時代はこれから幕を開ける。2020年、全ての企業に、新しい時代に向けた事業参画のチャンスは開かれている。

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