その結果、1999年には国会で法案が提案され、2002年1月17日、職場でのモラルハラスメントに言及した「社会近代化法」(労働法)を制定。
労働法では、「従業員は、権利と尊厳を侵害する可能性のある、身体的・精神的健康を悪化させるような労働条件の悪化を招くあるいは悪化をさせることを目的とする繰り返しの行為に苦しむべきではない」とし、「雇用者には予防義務があり、従業員の身体的・精神的健康を守り、安全を保障するために必要な対策をとらなければならず、また、モラルハラスメント予防について必要な対策を講じなければならない」と、企業に予防・禁止措置を課したのです。
また、企業は従業員の健康と安全を保障する義務があることが大前提で、たとえハラスメント予防の対策を導入していたとしても、モラハラを起こす社員が出た場合、その社員だけでなく雇用者にもその責任がある、としています。つまり、「企業経営がモラハラを助長している」というイリゴイエンヌ氏の訴えが、法律で明文化されたのです。
これこそが日本が学ぶべき視点です。
日本ではパワハラが発覚した場合、パワハラをした上司が異動になったり、解雇されたりすることはありますが、トップが責任を負うことはめったにありません。パワハラをしていた社員が書類送検された三菱電機では、2014〜17年の3年間で、長時間労働などを原因とする自殺者2人を含む5人が労災認定されているのに「責任者の顔」は一切見えません。
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