新型コロナと緊急事態宣言があぶり出した、鉄道沿線ビジネスの困難(1/4 ページ)

» 2020年04月11日 07時27分 公開
[小林拓矢ITmedia]

 これまで、私鉄各社のビジネスモデルは、鉄道を走らせて乗客に利用してもらい、利益を上げるだけではなく、商業施設の開発や、住宅地の開発、さらには関連サービス業をつくりだすことにより、相乗効果でグループ全体の利益を向上させるというものだった。

 沿線に暮らしている人に、沿線のサービスを利用してもらい、沿線まるごとの生活の面倒を見る、というのが関東圏の私鉄のビジネスモデルである。関西にある阪急電鉄の小林一三がこの仕組みを開発し、東急グループの礎を築いた五島慶太がこのモデルを関東に普及させた。

阪急電鉄の小林一三は、鉄道を軸に沿線をどんどん開発していった(写真提供:ゲッティイメージズ)

 一方、寺社参詣もまた、鉄道ビジネスの利用促進に役立った。例えば、穴守稲荷や川崎大師への参詣輸送を目的とした路線を京浜急行電鉄はつくり、穴守稲荷への路線は現在では羽田空港アクセス鉄道へと変貌している。成田山新勝寺への参拝客を輸送するためにつくられたのは、京成電鉄である。京成は成田空港アクセスのための鉄道と思っている人も多いかもしれないが、もともとは寺社参詣の鉄道である。

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