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ベルリン、厳戒ロックダウン下の働き方2日でシステム用意、即座に5千ユーロ助成金振り込み(3/5 ページ)

» 2020年04月15日 08時30分 公開
[Masataka KodukaITmedia]

ベルリンスタートアップ企業のロックダウン状況下での働き方

 助成金支給によりフリーランサーの直近の経済危機は多少、和らいだ。そして、ロックダウン状況下、IT企業はどのように経済活動を継続しているのか? いくつかのスタートアップ企業に話を聞いた。

 ベルリンを拠点とするGERMANTECH社は、モットーとして「“長持ちする”デジタル・エコシステム構築(Building digital ecosystems for a sustainable future)」を掲げ、民間、公共、学界・社会福祉の分野を股に掛けたネットワークを活用しつつ、数々のITシステムを実装、スタートアップを支援してきた会社だ。

「“長持ちする”デジタル・エコシステム構築(Building digital ecosystems for a sustainable future)」を掲げるGERMANTECH社(同社Web)

 前述したような新たなビジネスアイデアを共有するミートアップイベントを頻繁に主催し、人と人をつなげ、IT技術の教育・トレーニングから、実際のシステム開発とテスト、システム構築などプロジェクト支援、資金援助などを行っている。フォルクスワーゲン、BASF、WWF(世界自然保護基金)など著名企業や団体をクライアントに持ち、エコロジー、環境保護の問題解決をITで取り組む点に特色がある。「sustainable」は「持続可能」と訳すべきなのだろうが、自動車やカメラなど、ドイツ製品の印象からか、筆者は“長持ちする”という訳が的を射ていると考えた。

 イベント兼プログラム・マネージャーのアンナ・由気子・ビッケンバッハ(Anna Yukiko Bickenbach)さんは、コロナ危機の事業への影響について語る。

 「私たちは全クライアントと一緒に、ミートアップイベント(『WORLDCHANGERS IN TECH』)を全てオンライン化しました。オンライン化してから逆に参加者数が増えたので、イベント数は増えています。物理的にイベントを計画する場合には、少なくとも6週間の準備期間が必要でしたが、オンラインイベントの場合、1週間で準備できて効率的です。

 3月17日にすべてが閉鎖される前、社内で短時間労働(Kurzarbeit、短時間労働者は原則として、短時間労働で減った分の収入の60%がドイツ政府から支払われる。訳者注)の準備をしました。現在(4月9日時点)、私は普段の半分しか働いていませんが、ドイツ政府が失われた賃金の67%を補助してくれるので、普段よりよい時給を得ています。そして、子供たちの面倒を見る時間がたくさんできました。社員の半分には子供がいるので、従業員の世話をしつつ、今回の状況について非常にクリアな話をすることが、とても重要でした。今回のコロナ危機の影響で発生した会社の出来事を、毎週Youtubeで配信(リンク)していますので、是非、ご覧ください」

 3月16日から、GERMANTECH社は完全に自宅作業、テレワークに移行した。利用ソフトウェアとして、「Slack、Googleハングアウト、Google Drive、Todoist、かんばんなどを利用しています。あたかも実際のオフィスにいるように、質問したり、冗談を言ったりできるような仮想会議室も立ち上げています。私たちは毎朝10時に会議を行い、お互いの情報をキャッチアップしています。

 今回の事態は、人々のキャラクターをテストしていると思います。親として、雇用者として、従業員として、私は、柔軟であればあるほど、強くなれると思います。私はドイツのプロダクト(MADE IN GERMANY)がより“長持ち”するようになることを願っています。エンジニア、科学者、他すべての労働者が、コロナ危機によって発生した時間を使って、自分自身にとって何が重要か考えています。これは、より“長持ち”して耐久性のある社会に向けて、私たちを正しい方向に導いてくれるのではないか、と期待しています」

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