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ベルリン、厳戒ロックダウン下の働き方2日でシステム用意、即座に5千ユーロ助成金振り込み(1/5 ページ)

» 2020年04月15日 08時30分 公開
[Masataka KodukaITmedia]

 4月7日に緊急事態宣言が発令され、日本でもロックダウン状況に相当する事態が発生する可能性がある。筆者は7年以上、ドイツのベルリンに在住、外国人ITエンジニアとして働いており、このおよそ1カ月前にロックダウンを経験している。そのベルリンのロックダウン状況下でのスタートアップ企業の取り組みについてお伝えしたい。

通勤ラッシュ時間帯(9時30分)のベルリンの電車

スタートアップ/フリーランスの街、ベルリンのコロナ危機

 2010年代半ばから、ドイツの首都ベルリンはスタートアップ企業から熱い注目を浴びてきた。スタートアップ企業が根付く理由として、シリコンバレー、ロンドンなどに比べて比較的安価な家賃・生活費、ヨーロッパのほぼ中央に位置し、国境を超えたエンジニアが在住している環境が挙げられる。

 主なところでは、ベンチャービルダーのRocket Internet社、ECサイトのZalando社、音声ファイル共有サービスのSoundCloudなどがベルリンを拠点とする。そして、民間企業、公共団体、学界などの狭間を超えて、起業家やフリーランス開発者たちがフリースペースなどに集い、各々新しいビジネスアイデアを発表し合い、開発プロトタイプを互いにレビューし合うミートアップイベントが頻繁に開催されている。

 ベルリンの喫茶店や地下鉄の中、フリーランスのプログラマらしき人がMacのターミナル画面やVisual Studio Codeの画面をにらみつつ、Python、RubyやPHPでコーディングする姿を、筆者はよく見てきた。少なくとも、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がヨーロッパで大流行し始める寸前の、2020年3月上旬までは。

 3月中旬に学校・保育所の閉鎖が決定。3月18日、アンゲラ・メルケル首相がテレビ演説にて、コロナ危機を「第二次世界大戦以来、最も深刻な事態」と定義し、全ドイツ国民に一致団結した自宅待機/自己隔離を呼びかけた。それからは、ベルリンの街中を出歩く人は急激に減少し、サッカーの試合も無く、コンサートや演劇は全てキャンセルとなった。

stayhomeを訴える劇場の広告。日本の銀座にあたるフリードリヒ通りにある大きな劇場。閉館しているが、あえて広告展開している

 そして、3月22日にはドイツ国内全域における「接触制限措置」が発令され、飲食店など接客機会のあるサービス業はほぼ閉鎖となった。家族、あるいは同居人を除く3人以上の集会が禁止された。食料など生活必需品の買い出しや、散歩、ジョギング、サイクリングなどは許可されているものの、ベルリンはいわゆるロックダウン状態となり、現在(4月9日)もその状況は続いている。

 この影響により、数多くのITプロジェクトが中断となった。あるWebデザイナーはイベント関係の仕事が全て中止となり、見込んでいた収入が消えたことを嘆く。あるシステムインテグレーターでは、契約しているプロジェクトの半数が延期あるいは中止となった。ベルリンで多くのフリーランサーが、多かれ少なかれ、仕事を失ってしまった。

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