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» 2020年05月07日 07時00分 公開

世界を読み解くニュース・サロン:膨らむ経済損失と不満 世界で始まった「コロナ訴訟」 (1/4)

緊急事態宣言が5月末まで延長され、経済活動の停滞が続くことになった。米国などでは、中国政府に損害賠償請求の訴えを起こすケースが増えている。また、企業や大学までも訴えられた。不満がさらに高まれば、日本でもそのような動きが増えてくるかもしれない。

[山田敏弘,ITmedia]

 ゴールデンウイークの真っ只中だった5月4日、安倍晋三首相が記者会見を開き、全都道府県を対象に緊急事態宣言を5月いっぱいまで延長することを発表した。

 途中で見直しもあり得るようだが、個人の行動が大幅に制限され、経済活動が滞る期間がまだ続くことになった。新型コロナウイルスの感染拡大を食い止めるには仕方がない期間ということだが、一つ気になるのは、政府が説明を尽くしていないと思えてならないことだ。

 例えば、首相が直接、国民に説明を行える記者会見だ。これまでに首相の記者会見が中途半端に切り上げられてしまうという批判が出ており、多少は改善されているようだが、それでもまだ十分だと感じない。今の日本政府にとって、新型コロナ対策やそれに絡む政策よりも重要なことはないはずだ。経済活動停滞で疲弊し、不安を抱いているビジネスパーソンらも腑に落ちないことは多いだろう。

緊急事態宣言が延長され、経済活動の停滞は長引く(写真:ロイター)

 5月4日の会見では「この後に外交日程がある」と会見を切り上げている。実は政府関係者たちの間では、何日も前から、緊急事態宣言の1カ月程度の延長が決まったことは知られていた。つまり、日程を調整する時間もあったはずだ。

 そもそも、その外交日程は、日本国民の「私権制限」をお願いすることよりも重要なのか。相手の国外の関係者も、「国民に真摯に向き合って説明を尽くすために予定を変更したい」と言えば、快く変更を受け入れるだろう。新型コロナ対策は、世界が共通して懸念している問題なのである。

 また安倍首相は、5月6日にはインターネットのライブ配信で1時間ほど質問に答えた。だが時間が短いだけでなく、ネットにアクセスができて使えるデータ量に余裕がある人に参加が限られることから、首相から直に言葉を聞きたい老若男女に広くリーチできるテレビ中継の記者会見とは違う。

 とにかく、政府の動きに不満を持ったり、いら立ちを募らせているのは、何も日本だけではない。国外でも当然同じような声が上がっているが、世界を見渡すと、その怒りの矛先は「損害賠償請求」になっているケースも出てきている。国家や自治体相手だけでなく、民間企業やメディアなども訴えられている。そしてこの動きは、今後、大きなうねりになる可能性もある。

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