コロナ対応に厳しく臨んだ店ほどお客は集まる説は、本当か(1/4 ページ)

» 2020年05月11日 06時00分 公開
[増沢隆太INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:増沢隆太(ますざわ・りゅうた):

株式会社RMロンドンパートナーズ代表取締役。キャリアとコミュニケーションの専門家として、芸能人や政治家の謝罪会見などをコミュニケーションや危機管理の視点で、テレビ、ラジオ、新聞等において解説している。大学や企業でのキャリア開発やコミュニケーション講座を全国で展開中。著書「謝罪の作法」他多数。


 コロナ対応で自粛に尽力したお店やサービス業の皆さん、休業要請が徐々に緩和される地域も出てくるというニュースが流れました。

休業要請緩和での不安

 東京や大阪など大都市以外から、徐々に休業要請が解除など緩和も始まるとの報道です。全面解除ではないものの、少しずつ営業が再開される店舗などが増えていく見込みです。これまで行ってきた厳しい営業自粛では、お客さんに「来ないで」というメッセージを発したことで、繁華街や観光地は大幅な人出減を実現できました。

 ワクチンも治療薬もない今、感染リスクを下げるという方法しか対策がない中、自らの生活を犠牲にし、売上減どころか廃業に追い込まれるほどの激甚な苦しみを味わう人たちの努力が、事態の鎮静化を強力に推し進めたことは疑いの余地がありません。身を犠牲にして社会正義を守る姿勢は、国を守り、われわれ多くの国民を救っていただいているのだと、本当に感謝でいっぱいです。

 人が集まってくれなくては成り立たない小売業、サービス業、観光業などにとって、自粛は自らの身を切る行為です。観光地が「今は来ないで」とストレートなメッセージを発し、人の集まる場所を閉鎖し、駐車場を閉め、本当に身を切ることで人出を止めたのでした。

 休業要請が緩和されることで、少しずつ人出を元に戻す動きが始まります。そんな時に一部の店主さんなどから「これまでお客さんに来ないでくれなどと失礼なことを言った。イメージ悪化が心配」というインタビューも見ました。客に「来ないでくれ」など、商道徳にもとる許されない気持ちなのでしょう。

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