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» 2020年05月21日 05時00分 公開

池田純のBizスポーツ:ベイスターズ初代球団社長が語る、コロナ時代に必要な「変える力」とプロ野球生き残りの道 (1/4)

新型コロナウイルスの影響で窮地に立たされるプロスポーツビジネス。「コロナの時代」を見据えた経営に必要なものとは? 親会社や前例にとらわれない「変える力」こそ必要だと、埼玉ブロンコスオーナー/横浜DeNAベイスターズ初代球団社長、池田純氏が解説する

[池田純,ITmedia]

連載:池田純のBizスポーツ

プロ野球・横浜DeNAベイスターズの初代球団社長で、現在スポーツによる地域活性化などに取り組む一般社団法人さいたまスポーツコミッションの会長、バスケットボール男子Bリーグ3部(B3)・埼玉ブロンコスのオーナーを務める池田純氏が、スポーツビジネスの裏側に迫る連載「Bizスポーツ」。第4回は「“コロナの時代”を見据えた経営」をテーマに、新たなスポーツエンターテインメントビジネスの方向性やリーダーの在り方に迫る。

 新型コロナウイルスの感染拡大で、多くの企業・業界が苦しんでいます。経済的なダメージを誰もが少なからず受けているはずです。ただ、中には“コロナショック”を受けていないものもある。その代表例が、在宅型エンターテインメントインフラの世界です。

 在宅率が高くなる中で、任天堂のゲーム機「Nintendo Switch」やAmazonの「Fire TV Stick」が品薄になり、スマートフォンのゲーム会社ももうかっている。ホットプレートや子ども向けの教材、自転車なんかも売れていると聞きます。さまざまなイベント、興行が中止・延期に追い込まれ、単純に自宅などで楽しめる在宅型のエンターテインメントを誰もが欲している。その中で思うのは、今こそプロ野球が“新しい形”のビジネスにチャレンジするとき、「変える」ときなのではないかということです。

「在宅エンタメ」が求められている(出所:ゲッティイメージズ)

 一部では、プロ野球は最短で6月19日に開幕という話も出てきています。専門家ではないので、それが本当に大丈夫なのかどうかは分かりません。ただ、特定のエリアで試合を開催する、抗体検査、抗原検査、PCR検査を徹底するなど、周到な対策を施せるのであれば、無観客でもどうにかして頑張って開幕させて、テレビ、インターネットで試合を見せていく選択もアリではないか、むしろやってほしいと思うようになっています。今、プロ野球を開催すれば、かなりの視聴者を集めるでしょう。台湾や韓国では世界のプロ野球に先駆けて開幕にこぎつけましたが、韓国リーグ(KBO)が米スポーツ専門局ESPNと放映権契約を結ぶなど、実際にコンテンツとしてのプロ野球が世界的な注目も集めています。

 もちろん、米国を含めて放映権料で成り立っているようなリーグと、入場者数の増加で黒字化が進む日本のプロ野球では経営環境が全く異なります。日本の放映権料は1球団平均15億〜20億円ほど。観客を入れずにこれを得ても、選手年俸の平均総額(30億円前後)にも満たず、赤字が続いて次第に苦しくなるだけでしょう。無観客での開催を継続するには、売上のポートフォリオがチケット、観客動員に傾斜した昨今の日本で流行するスポーツエンターテインメントビジネスのモデルからの変化が求められます。

 例えばバーチャルな観客席だったり、バーチャルな映像を視聴者に見せたりといった、日本独自の新たなエンターテインメント性を提案し、それに応じたECのモデルなどを試行錯誤して、スポーツにおける在宅型エンターテインメントインフラとしてナンバーワンの世界を切り開けば、放映権料だけでも球団経営を成り立たせることが可能になるかもしれません。

韓国プロ野球リーグは、米放送局でも中継を開始(出所:米ESPN公式Webサイト)
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