世界でも早期にロックダウンを開始し、世界最速で助成金の支払を実現したドイツ。ロックダウン緩和も、ドイツではいち早く始まっている。しかし、コンサートやスポーツイベントは8月31日まで禁止。文化芸術の街、ベルリンでは、ライブを行えないミュージシャンの“失業状態”が続く。そんな中、ロックダウン緩和により、一部公共の場でミュージシャンの演奏が可能になりつつある。今回は、その様子をレポートする。
BIO COMPANY GmbH(ビオ・カンパニー)(リンク)は、ベルリンを拠点とするスーパーマーケットチェーン。社名のとおり、オーガニック食品、自然製品、無添加化粧品など数千種類を販売する。会社のビジョンとして、「持続可能な(nachhaltig)経済と協業」および「将来の世代のための地球の健康と、人生の健康」を掲げる企業だ。
BIO COMPANYの店頭には、買い物客が飲食を楽しめるビストロエリア「Bistrobereich」と呼ばれるコミュニケーションスペースがある。ロックダウン下では、マスクを外さないと飲食できず、また1.5メートルのソーシャルディスタンスも確保できないため、このスペースはずっと閉鎖されていた。
しかし5月に入って、このスペースでさまざまなミュージシャンが演奏する風景が見られるようなった。緩和とはいえまだロックダウン下でもあるためか、ミュージシャンはマスク着用のまま演奏している。この企画を始めた経緯を、BIO COMPANYのイベントマネジメントリーダーであるアニカ・ヴィルケ(Anika Wilke)さんに話を聞いた。
――なぜ、店頭コンサートを企画したのでしょうか。
ヴィルケ氏 コロナ危機によってコンサートがすべてキャンセルされ、多くのアーティストたちが経済的な困難に直面しています。多くのミュージシャンがパフォーマンスを切望し、また忘れられることを恐れています。まず、この状況を少しでも変えられればという思いがあります。
またこのような厳しい状況下で、お客様へ幸せな気持ちと、コミュニティー感覚を体験できる機会を少しでも提供したいという気持ちもありました。今回の試みでこれらを実現できて嬉しく思っています。
――店頭コンサートでは、注意していることはありますか。
ヴィルケ氏 ミュージシャンは、店舗のビストロエリアで演奏しますが、「1.5メートルmの距離を保ってください」というフロアシールを貼ることで、お客様との距離を確保できるよう努めています。
また買い物しながら音楽を楽しめるように、お客様へ一箇所に立ち止まらないよう注意喚起し、コロナ禍の距離ルールを順守しています。さらに、演奏を行う全ミュージシャンには、マスク着用も義務付けています。
――コロナ危機は、BIO COMPANYへどんな影響を与えましたか。
ヴィルケ氏 食料品店のBIO COMPANYでは、この業界の他企業と同様、売上高が増加しています。我々はこのような現象を前に、持続可能な方法で作られた製品が、今後も継続的に多くの人々に購入していただけることを強く願っています。
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