このままでは潰れる! 小規模ホテルが挑む「シェルター事業」とは逆境の最中、斬新な試み(4/5 ページ)

» 2020年05月29日 08時30分 公開
[小林香織ITmedia]

加盟施設160以上。未来に泊まれる宿泊券の販売

 ホテルシェルター以外に、同社が自社システムを活用して始めたホテル救済戦略がある。それが、アフターコロナで利用できる「未来に泊まれる宿泊券」の販売だ。

 現状では「安心してホテルに遊びに来てください」とは言えないが、未来に利用できる宿泊券を前倒しして顧客に購入してもらうことで、宿泊前に各ホテルに購入代金が入金される仕組みだ。システムを利用する際の初期コストは無料、手数料率を極限まで下げることで、ホテル業界を支援する仕組みを実現させた。

 「#安心な世界で旅に出ようぜ」のキャッチコピーを使ってSNS中心にPRしたところ、大きな反響があり、現在までに160以上のホテルがプロジェクトに加盟。家族や恋人へのプレゼントとして購入する人も多いという。

加盟ホテルの一つ、福岡県の「柳川藩主花邸 御花」
加盟ホテルの一つ、愛媛県の「瀬戸内リトリート 青凪」

 さらに、オンライン上にしか存在しない架空のホテル「HOTEL SOMEWHERE」を立ち上げ、公式noteのアカウントを通じて「なくならないでほしいホテル」の紹介記事も連載する。

 「外出が制限され、さまざまな不安やストレスを抱えやすい現代においても、未来にワクワクできるように、また同業者のみなさんには『一緒に乗り越えましょう』という思いを込めて運用しています。当社の事業がきっかけで、ホテル業界の救済につながるのはもちろん、全国の魅力的なホテルをより多くの方に知っていただけたのも嬉しい成果でした」(合田氏)

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.