このままでは潰れる! 小規模ホテルが挑む「シェルター事業」とは逆境の最中、斬新な試み(2/5 ページ)

» 2020年05月29日 08時30分 公開
[小林香織ITmedia]

専門家監修のガイドライン制定、無人受付にオンライン診療

 現在、ホテルシェルターには全国の150以上(3000室)のホテルが加盟。5月1日の発表からわずか3日間で500人の事前予約があり、代表の龍崎氏をはじめ社員たちは「事業への確かな手応え」を感じているという。

 「HOTEL SHE, OSAKA」では、1泊の料金を3300円(税込、以下同)から(2名1室は4400円から)と通常価格の50%以下に設定、最低利用期間は5日からとなっている。価格や利用可能期間は各ホテルによって異なるが、基本的には長期での利用が前提だ。

 通常、毎日行っているハウスキーピングはチェックアウトまでなし、必要に応じて清掃道具やリネンをゲストに渡し、ゲスト自身が対応する。このようなコスト削減のうえに運営が成り立っている。

「HOTEL SHE, KYOTO」の一室

 ホテルシェルターを開始するにあたり、同社は感染症専門医でKARADA内科クリニック院長の佐藤昭裕医師の監修を受け、運用のガイドラインを独自に制定。感染を避けるために、いくつかの特別措置が取られている。

 「通常営業と異なるのは大きく2つあって、チェックイン・チェックアウトを含む非対面での接客と共用部の利用禁止です。他者との接触を極限まで減らすことで、感染を起こさないよう最大限に配慮しています。

 日中はホテル内部に必ず1名以上スタッフを配置し、チェックイン・チェックアウト時のお客さまの様子をカメラを通じて確認しています。例えば、ひどく咳き込んでいるなど様子が気になる方がいた場合、お声がけができるような体制を取っています」(HOTEL SHE, OSAKA 支配人 中村 健太氏、以下:中村氏)

「HOTEL SHE, OSAKA」の無人受付の様子

 滞在中はホテルの公式LINEを通じて、スタッフと常時やり取りができる。また、ゲストが体調不良を起こした場合に備えて、オンライン診療の導線も整えた。このような安全第一の運営フローにより、トラブルなく運用できているそうだ。

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