このままでは潰れる! 小規模ホテルが挑む「シェルター事業」とは逆境の最中、斬新な試み(5/5 ページ)

» 2020年05月29日 08時30分 公開
[小林香織ITmedia]
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泊まるだけじゃ続かない。存在価値が問われるホテル業界

 「未来に泊まれる宿泊券」はHOTEL SHE, OSAKAが休業してから、わずか数日で販売開始、「ホテルシェルター」は考案から約10日で枠組みを作り、1カ月でローンチまでこぎつけた。世間の反響は関係者の期待以上に大きく、ホテルの新たな価値創造に貢献したと言えそうだ。

 HOTEL SHE, OSAKA及び、KYOTOは、5月30日から通常営業を再開する予定だが、ホテルシェルターとしての運営も並行して続ける意向とのこと。これまでのガイドラインを順守するのはもちろん、通常宿泊の顧客にも非対面接客を行い、併設されたカフェではテイクアウトのみの営業となる。

 「日々情勢が変わっていく中で、どのように運営を継続するのがベストか、社内で議論を重ねています。今後もみなさまのニーズを探りながら、ホテルが存続していくための次の戦略を打ち出したいと考えています」(合田氏)

 「緊急事態宣言が解除され、国内の需要が戻ったとしても、インバウンド・アウトバウンドの需要はすぐに戻ることはないでしょう。また、テレワークが当たり前になれば、ビジネスホテルとしての用途が生まれづらくなる。

 ちょうど今、観光のあり方が大きく変わる潮目にいると感じていて、ただ泊まるだけではホテルは存続できないと思います。逆に、ライフスタイルの提案や独自性のあるコンセプトなど、インセンティブがあるホテルは価値を発揮できる時代になると予想しています。

 私たちも、まだ今後の方向性を模索している段階ではありますが、ホテルシェルターや未来に泊まれる宿泊券のように、業界の先駆けのような存在になれたらと考えています」(中村氏)

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