もう一点、アフターコロナで大幅な株価上昇が見られると予想する者の論拠を挙げるとすれば、2003年頃にみられたSARSの経験則があるだろう。
コロナウイルスの一種であるSARSは、2003年2月下旬から3月上旬にかけて流行の様相を呈し始めた。しかし、株価が大幅に下がったのはそこから2カ月程度であり、そのあとは03年7月5日にWHOがSARS終息宣言を行って以降も上昇相場となった。
いずれの期間も、日本銀行が緩和的な金融政策を取っていたことは事実である。しかし、同時期にイラク戦争が重なっており、“有事における買い”も株価上昇を後押ししたとみられている。そのため、ウイルスの流行が株価上昇につながるとただちに判断してしまうのはやや早計である可能性もある。
しかし、今回のコロナウイルスに関しては、世界金融危機を上回る規模での金融政策や財政出動が各国で実施されている。仮に日本が早期にコロナ禍から脱出し、経済的な影響も当初の想定より軽微にとどまったとすれば、行き場を失ったマネーが株式市場に流入し、バブルに近い相場展開となってもおかしくはない。
各国の金融・財政における緊急対応は、コロナ禍の実態が未だ不明瞭な中で打ち出された施策も多い。今後はそのような緊急対応の規模と、実際発生した影響の規模を比較して、前者が大きい場合は今後の対応規模を縮小していくことも検討すべきではないかと考える。
中央大学法学部卒業後、Finatextに入社し、グループ証券会社スマートプラスの設立やアプリケーションの企画開発を行った。現在はFinatextのサービスディレクターとして勤務し、法人向けのサービス企画を行う傍ら、オコスモの代表としてメディア記事の執筆・監修を手掛けている。
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