では飲食店としては無断キャンセルを防ぐのに有効な方策はあるのだろうか。業界では幾つかの方策を試行錯誤している。
本来は無断キャンセルした人から一定の金額を徴収するのが筋だ。宿泊業などは既に実践しているが、飲食業の多くはキャンセル料徴収にはまだ踏み切れていない。SNSで何と書き込みされるかが怖いというのだ(実際、「当日キャンセルしたらキャンセル料を請求された。態度悪い」と非難する理不尽な書き込みを目にしたことがある)。
ではどんな代替手段があるだろうか。最も現実的なものは無断キャンセルを防止する機能を組み込んだ予約サイトを利用することだ。
予約時にクレジットカード番号を入力させるところ、デポジットを預かるところ、自動リマインド機能で確認が取れない場合には自動的にキャンセルする設定など、やり方は幾つかある。そしてNo showだった時には一定のキャンセル料を徴収することを明確に宣言するだけでも、無断キャンセルする人はかなり減るだろう。
とはいえ、メジャーな予約サイトでもこうした機能を具備していないところがまだ多いことも事実だ。ましてや予約サイトの信頼性に疑問も生じている現在、予約サイトに頼りたくない飲食店も少なくないだろう。
その場合は店自身が予防策を講じる必要がある。つまり予約客に前日にでも電話して、予約意思を確認するのだ。面倒だが、一定以上の効果は期待できる。最近では、予約内容の確認メールを予約者にSMSで送ってくれる割安なサービスも出てきているので、その利用も一法だ。
実際、先のアンケートでも明らかになっているが、「予約したことを忘れてしまっている」ケースが30%以上あり、「店や日にちを間違えていた」も10%以上、「電話するのが面倒・時間がない」などという理由も30%近くあるのだから、意思確認の連絡は意外と効果があるかもしれない。
ここまで述べてきたように、無断キャンセルという約束違反は非常にたちが悪いし、利幅の薄い飲食店にとっては致命的なほど重い。「気楽に無断キャンセルする」連中がこれまであまり声高に断罪されなかったのが不思議なくらいだ。
苦心惨憺して何とか再開にたどり着いた店でも、無断キャンセルが一つ発生するだけで店主の気力の綱が切れてしまうことは十分考えられる。そう、あなたや友人の「うっかり」した無断キャンセルが店の息の根を止めることがあり得るのだ。ぜひ、この「無断キャンセルが罪作りなこと」を周りの人にも伝えて欲しい。 (日沖 博道)
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