インタビュー
» 2020年06月12日 14時00分 公開

クルーズ市場最前線:新型コロナ禍で船内の衛生管理基準はどう変わる? 船会社が模索する「新しいクルーズ様式」 (1/3)

クルーズ業界に、苦境に耐えつつ航海の再開を目指す人たちがいる。ゲンティン ドリームラインで日本オフィスマネジャーを務める山本有助氏に聞いた。

[長浜和也,ITmedia]

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的拡大によって、観光業は大きな打撃を受けている。特に甚大な影響を受けているのが、集団感染の報道によって大きく、かつ長期にわたって取り上げられたクルーズ業界だ。

 そのクルーズ業界に、苦境に耐えつつ航海の再開を目指す人たちがいる。しかし「時間が過ぎて人々が忘れたころを見計らって再開する」というわけにはいかない。COVID-19に対する防疫対策を確立して、利用する人の安全を確実に保証できる体制が整って初めて多くの人がクルーズの再開を受け入れてくれる。

 「安全と安心を100%確実に提供できるクルーズ」の実現を模索する現状を、ゲンティン ドリームラインで日本オフィスマネジャーを務める山本有助氏に聞いた(取材は5月21日にビデオチャットによって実施した)。

リーズナブルな料金で質の高いサービスを提供することで初めてのフライ&クルーズとしても利用しやすい「ゲンティン ドリーム」

── COVID-19(新型コロナウイルス感染症)によって、ゲンティンクルーズラインはどのような影響を受けているでしょうか。

山本 COVID-19によって、クルーズ業界に限らずグローバル経済のあらゆる面が影響を受けています。この目に見えない脅威によって、この3カ月間すっかりやられてしまっているというのが今の正直な気持ちです。ワクチンもなく治療薬もなく、命にかかわることになりかねない状態ですから、感染を防ぐためにもさまざまな変容が起こっていることは仕方がありません。

 そのため、日本では緊急事態宣言が発出され、海外ではロックダウンとなっていました。そういう状況ですから、クルーズ業界は100%ビジネスができていないのが実情といわざるを得ないでしょう。しかしながら、感染流行の当初より弊社ではさまざまな予防策を実施しており、今日までにお客さまや乗員から感染者が出ていないことはお伝えしておきたいと思います。

 ゲンティンクルーズラインのスタッフとは、本社(香港)や海外オフィスのスタッフも含めて毎日のようにミーティングやオンライントレーニングを実施しています。ただ、直接顔を合わせたのは私個人に限って言うと、月21日から2月23日にあったクルーズへ乗船して行ったのが最後です。

 ゲンティンクルーズラインでは、1月末の段階でCOVID-19が全世界的に爆発的な感染拡大(パンデミック)となる可能性を検討し始めていました。その対応策として、早い段階から感染者の多い地域からのお客さまに対しては乗船をお断りしたり、健康問診表の記入をお願いしたり、クルーはマスクを着用するなどの対応をとっておりました。その後、シンガポール、マレーシア、日本、台湾、中国、オーストラリア、そして、ニュージーランドと各国当局が段階的に入港禁止となったことで、ゲンティンクルーズラインのクルーズも中止となっていきました。

── 日本で利用者が多いドリームクルーズ所属の客船はそれぞれ今どうしていますか。

山本 ドリームクルーズに所属するクルーズ客船には、香港発着クルーズに就航している「ワールド ドリーム」(総トン数15万695トン、全長335メートル)、シンガポール発着クルーズに就航している「ゲンティン ドリーム」(ワールド ドリームの姉妹船)、そして、豪州クルーズに就航している「エクスプローラー ドリーム」(7万5338トン、全長268メートル)の三隻があります。全てクルーズは中止しており、ゲンティン ドリームはマレーシアのランカウィ島沖、エクスプローラー ドリームはマニラ沖でそれぞれ停泊中です。ワールド ドリームは現在ヨーロッパの造船所で整備中です。

 なお、ワールド ドリームは2月初めに香港でCOVID-19感染の疑いで検疫係留となりましたが、この検疫で陽性者は確認されていません。ただ、COVID-19陽性となった方が、それ以前のクルーズで乗船されていたこともあり、既定の消毒作業を実施しています。このことが判明したとき、ワールド ドリームはクルーズ航海中でしたが、連絡が入ってすぐに通常航海から所定の対応オペレーションに移行しております。

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