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» 2020年07月06日 05時00分 公開

コロナ禍で「社員の出社が前提」のサービスが危機! 「おかん」と「キリン」の生き残り策とは「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(4/4 ページ)

[昆清徳,ITmedia]
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スムージーの販路を拡大

 スムージーの販路も拡大した。キリングループは19年にファンケルと資本業務提携を行っている。そこで、ファンケルの販売網を通じて、スムージーを4月16日から販売することにした。販売するのは、ケールやセロリといった葉野菜とキウイフルーツなどがブレンドされた「KIRIN The GREEN」と、にんじんを中心とした9種類の野菜と4種類の果物をブレンドした「KIRIN The YELLOW」(いずれも30袋で税込6480円)。

ファンケルが販売するスムージー(出所:プレスリリース)

 ファンケルにとってはスムージーを扱うことにどんなメリットがあるのか。ファンケルの小松寛氏(事業企画本部 事業開発部 次長)によると、同社の主力は青汁で、冷凍タイプと粉末タイプがある。そして、飲む前に解凍したり液体に混ぜたりといった手間がかかっていた。また、顧客からは「すぐに飲める商品がほしい」「常温保存可能な商品がほしい」といった声が寄せられていたという。一方、キリンのスムージーは常温保存可能で、いつでも気軽に飲めるのが特徴。つまり、同社の商品ラインアップを強化できる商品だった。

 実際に販売した結果は当初の見込みより好調で、結果的にオフィス需要の減少を補うことができたという。ファンケルの中尾真理氏(事業企画本部 事業開発部 コラボレーション推進グループ)によると、青汁を愛飲する顧客は年齢が比較的高めで、長期間定期的に購入し続ける特徴があるという。一方、スムージーを購入するのは従来とは違う顧客層だったため、新たなニーズを開拓できたと考えている。

 緊急事態宣言が解除された後、キリンナチュラルズはどのような戦略を描いているのか。

 在宅勤務が定着すると、オフィスに集まる社員の数はこれまでよりは減ってしまうかもしれない。しかし、大石氏は「従業員の健康を気にする企業の数は今後、増えると想定しています。また、新しいニーズも見えてきました」と語る。

 現在、企業からは「従業員同士が交流できるような機会を作りたいが、どうしたらよいか」という相談が寄せられているという。そこで、大石氏は企業の要望に応じて、オンラインとオフラインのセミナーを提案している。例えば、「コロナ太り」を解消したり、自宅で健康でいられるような運動方法を紹介したりするセミナーだという。

 オフィスに人が集まることが前提のビジネスモデルだったが、その本質は「社員の健康意識を高める」「社員同士の交流を促進する」「企業への帰属意識を高める」ことだった。コロナ禍で苦しんだ企業は、サービスの提供方法や販路を工夫することで苦境を乗り切ろうとしている。

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