コロナ禍で「社員の出社が前提」のサービスが危機! 「おかん」と「キリン」の生き残り策とは「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵(1/4 ページ)

» 2020年07月06日 05時00分 公開
[昆清徳ITmedia]

「近づけない、集めない」時代を生き抜く、企業の知恵:

 「人が集まる」「人に直接会う」ことで稼いできた企業が、新型コロナを契機に自社戦略の見直しを迫られている。どのようにして「脱・3密」や「非接触」を実現し、ビジネスチャンスを生み出そうとしているのか。

連載第1回:本記事


 新型コロナウイルスの影響を受け、オフィスに出社する人の数が減っている。オフィスに社員が集まることが前提のビジネスモデルを構築してきた企業は、この状況をどのように乗り切ろうとしているのか。置型社食サービス「オフィスおかん」と法人向け福利厚生サービス「KIRIN naturals(キリンナチュラルズ)」の取り組みを取材した。

コロナの影響で出社する社員が減少(写真提供:ゲッティイメージズ)

コロナ禍でサービス休止の依頼が相次ぐ

 OKAN(東京・豊島)が置型社食サービス「オフィスおかん」のサービスを開始したのは2014年3月。

 オフィスおかんの基本的な仕組みはこうだ。社員は社内にある冷蔵庫から食品を取り出し、電子レンジで温めて食べる。従業員は1品あたり100円を負担し、残りの諸々の費用は企業が負担する。豚の角煮や切干大根煮など、栄養のバランスにも配慮したメニューを提供している。

 OKANは、専用冷蔵庫・ボックス・料金箱をオフィス内に設置し、企業は電子レンジを用意する。1都3県(オフィスおかん対象地域)では、OKANのスタッフが在庫管理・賞味期限管理・現金管理・ニーズ調整を行う。それ以外の地域では、宅配便で食品を企業に送る。コロナ禍の前、導入実績のある企業の数は2000を超えていたという。

オフィスおかんの利用イメージ(提供:OKAN)

 しかし、新型コロナの影響でオフィスに出社する社員が減少。同社には「納品日をずらしてほしい」「納品する食品の数を減らしてほしい」という問い合わせが100件以上寄せられた。また、サービス休止の依頼は数十件あったという(6月上旬時点)。

 一方、コロナ禍の真っ最中に医療機関、金融関係、インフラ系の企業から新規申し込みがあったのは意外だったと広報担当者は説明する。「現場で働かないといけないが、感染が怖いので外食はしたくない」「社食が使えなくなったから代わりに利用したい」というニーズがあったのだ。とは言っても、申込件数は十数件程度で、減少分を補うには足りなすぎる。

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