――2020年内に、投資情報や資産管理などのスマートフォンアプリを立ち上げるとしています。第1弾となったOneStockの今後の展開、また次のアプリはどんな方向性になるのでしょうか。
池田氏 不動産であるとか、保険であるとか、さまざまな資産を皆さんお持ちです。資産として計上できそうなものはOneStockに追加していって、これらを含めて資産寿命も計算でき、1箇所で資産を管理できるようにしていきたいと考えています。
資産寿命を計算する、管理していく中で、自分の想定ほど資産寿命が長くないという結果が出ることもあります。そのために、診断機能を充実させて、資産のポートフォリオをこうしたらいいんじゃないか、などの提案機能を付加していきます。さらに(営業担当からの)アドバイスを聞くという機能を付加していく可能性もあります。
OneStockで資産の状況が把握できて、次に証券会社の口座を開いても、何を買ったらいいか分かりません。そのための情報を届けるのが次に大事です。これまで担当の営業からそうした情報を届けていましたが、ダイレクトに情報を提供してもいいのではないか。そして、その次は、いかに心地よく注文につなげていくかです。
――野村證券は対面証券のガリバーですが、若年層向けのネット証券サービスでは後塵(こうじん)を拝してきました。スマホ証券ではLINE証券を進めていますが、デジタル対応で成功するポイントはどこにあるのでしょう。
池田氏 お客さまの環境を的確に見据えて、ニーズに合ったサービスをフレキシブルに提供していく。それがデジタルの強みです。事前に計画をしていても、お客さまの使っている状況によって、変えていくのが大事。それはLINE証券ですごく学んだところです。
LINE証券は、当初100銘柄で1株ずつの取り扱いでした。ところが半年くらいで、銘柄数を200、300と増やし、信用取引まで提供するようになりました。当初初心者が多いと思っていたところ、サービスを始めてみたら、経験者が多いことに気づいたからです。想定と違ったときに、フレキシブルにサービスを更新していくことが大事です。
今までの金融機関の考えだと、最初初心者向けにターゲットを決めたら、それをブラッシュアップしていきます。それでは、せっかく経験者が入ってきて、経験者にもサービスがマッチするという声が挙がっているのに、初心者向けだと決めつけて失っていくことにもなります。仮説や想定はするが、やってみて、使われ方によって軽やかにサービスを提供する順番を変えていく。そういうフレキシビリティはデジタル化には非常に重要です。
未来共創カンパニーでは、デジタルファイナンシャル・アドバイザーというものを作っていきたい。対面では、24時間365日、お客さんにより沿うことはできません。しかしお金や資産に関しては、土日に家族で話していたり、年末年始に話していたりするものです。そういうときに、デジタルであればいつでも対応できます。
そのパーツの1つがOneStockです。診断機能をブラッシュアップしていけば、デジタルファイナンシャル・アドバイザーのパーツの1つになっていくでしょう。
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