「キャッシュレス・ポイント還元事業」が終了。 なぜか日本ではキャッシュレスが進まない遅れている(1/3 ページ)

» 2020年07月25日 06時00分 公開
[猪口真INSIGHT NOW!]
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著者プロフィール:猪口真(いのぐち・まこと)

株式会社パトス代表取締役。


 消費税の増税にともなって、需要喚起対策として、ド派手に打ち出された「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日に終わった。そこで、経産省は、事業開始前(2019年9月)と事業期間中(19年11月、20年5月)に実施した消費者及び店舗向けアンケートの調査結果を公表した。

 消費者の立場からすれば、キャッシュレスにするだけで、還元されるのだから使わない手はないのだが、国は7353億円を投じたと言われる「ポイント還元制度」。果たして、実際はどうだったのだろうか。

 店舗側からすれば、キャッシュレス決済を導入することで、新しい顧客の開拓や、単価アップにつながると考え、バカにならない手数料を払いながら頑張ってきた。

 ところが、コロナが直撃した。緊急事態宣言が出され、キャッシュだろうがキャッシュレスだろうが、買い物自体できなくなってしまった。

 その証拠に、総務省が7月7日に発表した20年5月の2人以上世帯の家計調査によると、消費支出は前年同月比16.2%減と大幅に落ち込んだという。4月も前年対比で11.1%だったというから、5月はさらに悪化したことになった。

 出かけることがないのだから、衣服、ファッション関係が38.3%減、ほとんどの学校が休校だったため、教育サービス、書籍などが37.9%減、住居関連の支出が26.0%減、交通・通信関係が22.4%減など、大きな落ち込みとなった。

 ただし、特別定額給付金によって、2人以上の勤労者世帯の収入は、5月に9.8%増と急増したという。5月の中旬には、緊急事態宣言は解除され、収入も増加したものの、消費にはまったく結びついていないという結果になった。

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