ECは順調だと言われることもあるが、全体の消費が減少しているのだから、伸びはたいしたことはない。
総務省によると、「ネットショッピングの支出額」(家計消費状況調査 ネットショッピングの状況について『2⼈以上世帯』)は、20年4月で1万4622円だったが、19年の約1万7000円と比較しても、むしろ減少となっている。
18年から19年にかけては、かなりECによる売り上げは増加したが、2020年にかけては、コロナによる巣ごもり消費の増加を見ることはむしろ難しい。全体の消費が減少している分、EC率が上がっているというのが正確な現状か。
「キャッシュレス・ポイント還元事業」が6月30日に終わったが、実際に、店舗側としては、どう感じているのだろうか。
まず、実際にどの程度、キャッシュレス決済率となったのだろうか。コンビニや交通系のキャッシュレスを見れば、イメージ的にはかなり進んだのではないかと思っていたが、実態は、20年4月の段階で32.7%とさほど進んだとは言えない結果となっている。19年9月で26.1%なので、6.6ポイント上昇はしているものの、2020年1月と比較すると、逆に0.6ポイント減少している。
また、これもコロナの影響だろうが、19年11月から比較しても、毎日キャッシュレスを利用するという人は減少している。
次に、売上効果についてだが、「消費者及び店舗向けアンケートの調査結果」では、「約40%の還元事業参加店舗で効果があった」と記載してあるが。逆を言えば、約60%の店舗で、参加したにもかかわらず、効果はなかったということだ。特に、人口20万人以下の店舗においては、その比率は増加する。これは、「顧客獲得に効果があったか」という質問に対しても同様の結果が出ている。
つまり、「キャッシュレス・ポイント還元事業」において、過半数は業績に効果がなかったとしていることになる。
調査では、8割以上の店舗は、今後もキャッシュレス決済を続けたいとしているが、本音は、キャッシュレスの顧客に逃げられることへの不安だろう。それに加え、新型コロナ対策としてのキャッシュによる接触機会の減少という課題もある。
さらに今後、還元制度がないままに、キャッシュレス決済を続けるとなると、手数料を考えれば、難しいと考える店舗側も多い。しかも、キャッシュレスの場合は、現金化するまでのタイムラグもある。
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