Braveの広告の仕組みはこうだ。まず従来のネット広告をブロックする。一方で、Braveはローカルでユーザーがどんなサイトを見ているか行動を計測する。Braveに広告を出稿したい顧客は、どんなターゲットに広告を出したいかをまとめて用意しておくと、Braveのブラウザが広告データをダウンロードする。ユーザーの行動と広告ターゲットがマッチングしたら、ブラウザが広告を表示する仕組みだ。
従来と大きく違うのは、この行動データはブラウザの中で完結し、ネットに送信されないことにある。Brave Software Asiaの嶋瀬宏社長は次のように説明した。
「Braveでは、ユーザーが知らない通信は行われない。Brave社でもデータは把握できない。ユーザー側が広告カタログを端末側にダウンロードして、端末側でマッチングが行われる。ローカルでマッチングをするので無駄な通信も発生しない」
この広告はいわゆるバナー広告のように画像を見せつけてアテンションの獲得を狙うものではなく、ブラウザからの通知という形を取る。2行ほどのテキストが表示されるだけで、実際の広告を見るかどうかはユーザーの選択に委ねられる。ニューバランスの鈴木氏によると、それでも非常に高いCTR(クリック率)を出しているという。
このBraveの新しい広告に参加するかどうかは、ユーザー自身が選択できる。全く表示させないことも可能だ。ただし、参加して広告を閲覧するとユーザーに報酬が支払われる。支払い手段として使われるのが、仮想通貨のBATだ。
Braveは広告収益の70%をBATの形でユーザーに支払っている。
昨今、ネット広告市場は順調に規模を拡大しているが、世界的に見ると実は寡占状態だ。その過半をGoogleとFacebookが占めるデュオポリー状態にあり、そのほかの収益の多くもDSPやSSPと呼ばれる、ユーザーの行動を計測分析して、マッチングした広告を表示する業者が受け取っている。Braveの広告は、プライバシー問題を背景に、こうした既存のネット広告構造に対するチャレンジだともいえる。
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