李想氏が次に名前を挙げたのは、VC「経緯中国(MatrixPartners China)」のパートナー張穎氏だ。李想氏によると18年末、理想汽車が資金難に陥ったとき、張穎氏の仲介で複数のファンドと交渉の機会を得て、1カ月も経たずに追加資金を手にしたという。
19年に再度資金繰りが悪化した際、李想氏と李鉄氏は出資を求めて100社以上に接触したが、うまく行かなかった。その時張穎氏は、「手ごわいが金を持っている起業家を当たれ」と助言。李想氏は4人にコンタクトし、美団点評の王興CEOとTikTokの運営企業であるバイトダンス(字節跳動)の張一鳴CEOから資金を調達できたという。
理想汽車に数度にわたって出資してきた王興氏は、今回の同社のIPOで投資家として評価され、両者にとってWin-Winとなった。
李想が「感謝している人」として3人目に挙げたのは、「理想ONE」のオーナー郝一菲氏だった。テスラから理想ONEに乗り換えた同氏は、友人にも購入を勧め、郝一菲氏経由の購入者は100人を超えるという。
テスラの「Model 3」試乗車(19年5月、編集部撮影)
李想氏はテスラのModel Sが上海に上陸した14年、中国本土の最初のオーナーの1人としてイーロン・マスクCEOから鍵を受け取っている。
テスラは19年12月に上海工場を稼働させ、理想ONEと価格がそう変わらない「Model 3」の出荷を始めた。テスラのブランド力が突出する中であえて乗り換えてくれた1オーナーの名前を挙げたのは、テスラを追いかけて起業した李想氏自身が、誰よりも両社の力量差を分かっているからだろう。
早稲田大学政治経済学部卒。西日本新聞社を経て、中国・大連に国費博士留学および少数民族向けの大学で講師。2016年夏以降東京で、執筆、翻訳、教育などを行う。法政大学MBA兼任講師(コミュニケーション・マネジメント)。帰国して日本語教師と通訳案内士の資格も取得。 最新刊は、「新型コロナ VS 中国14億人」 (小学館新書)。twitter:sanadi37 。
「トヨタVSテスラ」の構図は本当か? 「時価総額」という数字のマジックにだまされるな
テスラの時価総額がトヨタを抜き、自動車業界トップに躍り出た。日本が世界に誇る「あのトヨタ」が新興企業に打ち負かされてしまった。このようなニュアンスの記事を何度も目にしたが、その表面的な数字だけで物事を語ってしまう傾向に強い違和感を覚えている。「時価総額」という数字のマジックにだまされてはいけない――。
「テスラModel 3」日本上陸 スマホ的自動車は何をもたらすか?
電気自動車メーカーのテスラが国内のサポート体制を強化する。国内で4カ所目となるサービス拠点を東京東雲に開設し、夏から秋という普及価格帯のModel 3の販売に備える。まさに動くスマホとでもいえるModel 3の様子も紹介する。
中国でも評価割れる日本のGo To キャンペーン、「第2波の中で無謀」「観光業救う苦肉の策」
日本政府のGO To キャンペーンを中国メディアが報じたが、評価が割れている。キャンペーンの背景にある観光業界救済へ理解を示しつつも、コロナ感染対策の側面では無謀ともしている。一方中国はコロナ感染をほぼ収束させ、北京市は7月20日に市内の観光施設などの入場制限を緩和し、同市をまたぐ団体・パック旅行の販売を解禁した。中国では、感染ルート特定が行動の抑止力になっている。
英が一転5G排除、中国ファーウェイに迫る次の「Xデー」
7月14日、英政府が5G通信網からファーウェイを排除すると発表した。欧州各国はアメリカによる同社排除以降、中国との関係を深めたが、コロナ禍で悪化した対中感情などが背景にあると見られる。また同社は2020年前半の決算を、英政府発表の前夜午後11時すぎにひっそりと発表しており、カナダで拘束中の孟副会長の2度目の審理日「Xデー」が近いともされている。
「孫正義氏はアリババへの投資で運を使い切った」中国メディアが分析するソフトバンク低迷の要因
ソフトバンクグループ(SBG)の孫正義会長兼社長が6月25日、中国EC最大手のアリババの取締役退任を表明した。5月にはアリババ創業者のジャック・マー氏が、SBGの取締役を退くと発表。一方SBGは、2020年3月期の連結決算で過去最大の最終赤字を計上しており、中国メディアでは「孫氏はアリババへの投資で運を使い果たした」という辛辣な分析も出ている。
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