7月30日、中国EVメーカー「理想汽車」がナスダックに上場した。その企業名を知る日本人は多くないが、コロナ禍を乗り越えてIPOを果たした同社は、中国国内でのメーカー間の競争から一歩抜け出し、テスラのライバルを名乗る資格を手にしたと評価されている。そして理想汽車のIPOに至る道のりからは、中国マーケットの豊かさと厳しさの両方を感じ取ることができる。
理想汽車の上場初日の終値は16.46ドルで、公募価格の11.5ドルを43.1%上回り、時価総額も2018年に中国EVメーカーとして初めて米市場に上場した蔚来汽車(NIO)を一時抜いた。
実は中国市場では、NIOに続いて上場するのは18年12月に量産車を発売した小鵬汽車だと見られていた。そのため19年12月に最初の量産車「理想ONE」を発売したばかりの理想汽車が、IPOで先行したことには驚きが走った。IPOの目論見書によると、同社の純損失は18年が15億3200万元(約230億円)、19年が24億3800万元(約370億円)だった。しかし20年第1四半期は、売上高8億4000万元(約120億円)を計上し、純損失も2億3300万元(約35億円)まで縮小しているうえ、理想ONEの販売台数も既に5000台を超えていることが判明した。
伏兵の理想汽車がコロナ禍にもかかわらず躍進しているのは、創業者が連続起業家であるため、理想を追うだけでなく現実的な判断ができたことも大きく関係しているだろう。
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