2019年は非常に厳しい1年だったが、20年はそれ以上に大変な年になる。
中国通信機器メーカー、ファーウェイ(華為技術)の徐直軍(エリック・シュー)輪番会長は、20年3月の19年度決算発表会でこう話した。その背景には、年初から拡大していた新型コロナウイルスの影響、そして米トランプ政権による輸出規制などがある。
任正非(レン・ジェンフェイ)総裁をはじめとする同社幹部が、19年から「目標は生き残ること」と繰り返し語ってきた同社を、さらなる試練が襲っている。7月14日、英政府が次世代通信規格「5G」通信網から同社を排除すると発表(リンク)したのだ。英政府は1月に、限定的な参入を容認すると表明し、米政府が主導する「ファーウェイ包囲網」が崩れるかに見えたが、コロナ禍や一国二制度を骨抜きにする香港国家安全維持法によって、対中感情が悪化し、再び情勢が動きつつある。
米国は安全保障上のリスクを理由に、以前からファーウェイを排除してきた。数年前までそれは米国とファーウェイの問題だったが、トランプ大統領の就任によって、国際社会の問題に格上げされた。
18年12月、米政府の要請を受けたカナダ当局が、任総裁の長女でもある孟晩舟副会長兼最高財務責任者(CFO)をイラン制裁問題に絡む詐欺容疑で逮捕。翌19年5月、米商務省はファーウェイに対する米国製ハイテク部品などの事実上の禁輸措置を発表した。これにより、ファーウェイは部品調達で大きな制約を受け、スマートフォンにグーグルのアプリ基盤であるGoogleモバイル サービス(GMS)も利用できなくなった。
米政府はファーウェイへの制裁を強化するだけでなく、世界各国にも5G基地局でファーウェイ排除を呼びかけた。だが、すぐに同調した国はオーストラリア、ニュージーランド、日本など少数にとどまり、米国、ファーウェイ双方にとって欧州が主戦場になっていた。
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