この顧客の囲い込みのために、キャッシュレス決済会社は独自のキャンペーンを実施し自社商品のシェアを拡大しようとしている。特にPayPayやd払いに代表されるスマホ決済は、ここ数年でキャッシュレス決済におけるシェアを伸ばしており、キャンペーン特典の充実に人一倍力を入れている。各社が7月29日時点で行っている、主なマイナポイントへの上乗せキャンペーンは以下の通りだ。
種類 | サービス名 | キャンペーン概要 |
---|---|---|
スマホ決済 | メルペイ | ・マイナポイント申し込み後、メルカリで商品を購入すると最大1000ポイント付与・マイナポイントの申し込みで最大1000万円相当が当たる、総額1億ポイント山分けキャンペーン。・マイナポイント申し込み後、残高チャージで最大1000円分ポイント付与 |
スマホ決済 | PayPay | マイナポイントにPayPayを登録すると、抽選で最大100万円分のPayPayボーナスを付与 |
スマホ決済 | d払い | マイナポイントにd払いを選択するとdポイント1500分をプレゼント |
スマホ決済 | ゆうちょPay | マイナポイントにゆうちょPayを登録すると、1500ポイントを付与 |
電子マネー | Suica | マイナポイントにSuicaを登録すると、JRE POINTを1000ポイント付与 |
電子マネー | WAON | マイナポイントで登録したWAONの特典として、チャージ額の10%、上限2000円分を付与 |
クレジットカード | 三井住友カード | マイナポイントに、三井住友カードを登録すると抽選で100名に1万円分のポイント付与 |
クレジットカード | イオンカード(WAON機能付) | マイナポイントに登録&利用の特典として、最大、2万円の取引で2000円相当(10%)分の電子マネーWAONを付与 |
デビットカード | イオン銀行キャッシュ+デビット | マイナポイントに登録&利用の特典として、最大、2万円の取引で2000円相当(10%)分の電子マネーWAONを付与 |
スマホ決済のキャンペーンにおいて、特に注目したいのはPayPayとメルペイである。他のスマホ決済やクレジットカードが簡単なポイント増加の特典に留まるなか、PayPayは、宝くじ形式を採用しており抽選で最大100万円分のボーナスがもらえる仕組みを採用している。
また、メルペイに至っては、PayPayを上回るポイント付与数と、抽選で最大1000万円相当のポイントが当たるキャンペーンを同時に実施している。
一方、クレジットカードや電子マネーは、7月29日時点でキャンペーンを行っているものはあるものの、スマホ決済に比べるとポイント付与が少ない。
ただし、オリコカードのように申し込み開始時期を2020年8月下旬としているキャッシュレス決済もあるため、後出しでより魅力的なキャンペーンを展開していく可能性もある。先行するスマホ決済のキャンペーンに対して、カード会社や電子マネーがどこまで魅力的な特典を提示できるかが、今後の顧客争奪戦のカギを握るだろう。
現状のキャンペーンを比較すると、スマホ決済の特典が他のキャッシュレス手段に比べて手厚くなっていることが分かる。ただし、これらのキャンペーンはあくまでも7月29日時点の内容であって、随時更新・変更されていく可能性がある。
実際にd払いは、6月30日時点ではマイナポイント事業における上乗せポイントは500円だと公表したが、7月17日には1500円にするとキャンペーン内容を上方修正している。
いずれにしろマイナポイント事業の登録者上限は4000万人であるが、マイナポイントを受け取るために必要なマイキーIDの発行数は、7月12日時点で約210万人にとどまっている。登録を終えていないユーザーも多いことから、顧客の囲い込み競争はさらに過熱し、現状のキャンペーン内容を超える特典を提示するキャッシュレス決済会社が現れる可能性は高いといえよう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
Special
PRアクセスランキング