――今回の手数料引き下げに銀行が動くことで問題は解決するのか?
神田氏 懸念はその部分だ。今回の動きが手数料の引き下げにつながることは評価すべき。だが、ベースの技術として既存のインフラ、システムをもとに、どれだけ手数料を下げられるかという議論に見える。そもそものインフラを見直して、抜本的なインフラ改革をすべきだという指摘もある。
――どのような手数料環境が理想なのか?
神田氏 視点として重要なのは、ユーザーが安くて使いやすい決済のあり方だ。1件1件の少額送金は手数料をゼロに近づけていくべきだ。一方、中規模の決済、法人や事業者の決済については、ある程度の手数料になるだろう。
これまでは、銀行とベンダーが、これだけのシステムをこの金額で作ったので、1件いくらで顧客にコストを転嫁して提供しましょうという形だった。これからはユーザーにどのようなニーズがあって、どのくらいなら支払えるのか、ユーザーが求める価格を実現できるシステムはどのようなものかに基づいて、ユーザーが適正と思える対価を提供するべきだ。一般のビジネスと同じような発想の転換が求められている。
J-Debitのインフラをベースに実現しましょう、というのは従来型の考え方を抜け出していない。
いまの全銀ネットのインフラをベースにしていては、値下げに限界がある。次世代の全銀ネットなのか、別のインフラなのか、違うものが求められている。スケジュールは出ていないが、一般的には全銀ネットは8年に1回更新する。つまり2027年くらいには次のシステムが稼働することが想定されている。少なくともそこまでには、新しいシステムのあり方が定まっている必要がある。
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