銀行業界も証券業界も「人材の長期育成」に関する従業員評価が低い。さらに「20代の成長環境」については、特に証券に比べて銀行が低い――。転職情報サイトOpenWorkが現場の社員が投稿した評価スコアについてまとめた調査で、こんな状況が明らかになった。
両業界を比較するにあり、メガバンク3行と国内5大証券会社をピックアップ。「待遇満足度」や「成長環境」「人事評価適正感」などについてまとめた。
銀行と証券で大きく差がついたのが「20代の成長環境」だ。銀行業界が平均で2.8ポイント、証券業界は3.5ポイントと0.7ポイントの差がついた。中でも特に評価が高かったのが野村證券だ。
「数字が人格。働きやすい環境は自分で結果を出して周りを認めさせることでしか作れない」(野村證券 営業・男性)、「若手であっても実績があればいくらでも伸ばしてもらえる環境」(野村證券 営業・女性)など、年齢に関わらず実力を発揮すれば相応の評価が得られる環境が、成長実感につながっているようだ。
一方で、両業界ともにスコアが2.8と低かったのが「人材の長期育成」の項目だ。理由としては、金融業界特有の3年程度で異動するジョブローテーションがある。これは金融庁が、顧客との癒着や不正を防ぐために出している指針が背景にある。
「一部の部門や雇用形態を除けばローテーションが前提となるため、1つの分野で同じことを積み上げるプロフェッショナル型のキャリアを長期に築いていくことは比較的評価されにくい」(投資銀行 男性)
さらに決定経緯が不明瞭な「ブラックボックス人事」によってキャリア開発が難しいという声があった。
これはOpenWorkに投稿された各社社員の評価をまとめたもの。メガバンク3行で2万7000件程度、大手証券5社で2万9000件程度の投稿をもとにしている。社員として1年以上在籍した企業の情報、500文字以上の自由記述項目に回答した人からの情報をまとめた。
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