トップインタビュー

米国株で差別化図る マネックス証券の清明祐子社長に聞く(1/4 ページ)

» 2019年09月25日 07時00分 公開
[斎藤健二ITmedia]

 マネックス証券は今年20周年を迎えた。併せて、4月1日付で社長となったのが清明(せいめい)祐子氏だ。就任から半年、強みとしている米国株の領域で、取引最低手数料の値下げに踏み出すなど、攻めに転じている。一方で、口座数や預かり資産残高では、SBI証券や楽天証券が先行する。東証の売買高も低調で、業績的にも楽観はできない。

 米国株についてどう強化し、またグループに入った仮想通貨取引所コインチェックとの連携をどう進めていくのか。清明社長に今後の戦略を聞いた。

マネックス証券の清明祐子社長

力を入れるのは米国株

ーー日本株の取引は現在業界全体で低調で、マネックス証券も直近の業績は厳しい。今後、どういった戦略で伸ばしていくのか?

 お客さまは日本株を取引される方が多いので、日本株のサービスは常に改善しなくてはいけない。いま国内のマーケットは、昨年末くらいに株価が落ちて、そこから上がってこない状態。株価だけでなく、ボリューム、流動性がすごく減っている。9月に入って少し良くなったが、売買高が東証全体で1兆数千億だとどこの会社もしんどい。

 しかし、マーケット全体が低迷している中でもキラリと光る会社はある。そういうときに適切な会社を選んでもらえるように、「こういう株価なので配当利回りに注目してはいかがでしょうか?」という提案や、そうした会社を選定できる大ヒットツール、「銘柄スカウター」などを提供している。

 どんなときでも未来を見て、うまく取引できるような情報提供、セミナー、ツールを出していく。

 ネット証券は、品そろえを多くという形で成長してきたが、今後はお客さまのニーズを捉えて分かりやすく選んでもらえることが大事だ。スマホの時代なので、スマホのUIやUXも改善していなくてはいけない。

 どうしても日本株はマーケット依存度が高い。我々は何に力を入れているかというと、米国株だ。市場で見ても、米国市場は世界の半分を占めていて、ドル資産抜きに資産形成、資産運用は考えられない。

 マネックス証券ができた20年前は、世界の時価総額の上位10社、20社に日本企業が入っていたが、今は米国企業が並んでいる。一般の人が耳にする企業も米国企業が多い。米国株を資産形成、資産運用に取り入れてもらうことが大切だ。

 7月からは米国株の最低手数料を引き下げることを決めた。より身近に感じてもらい、気軽に米国株を手にとってもらえる環境を作っていく。米国株は1株から投資ができ、最低手数料を撤廃したので、手数料負けを考えずに投資ができるようになった。

 米国株をポートフォリオの一部に入れてもらえるよう、情報提供を行ったり、高配当銘柄やETFのお勧めをまとめたりしている。これまで日本株頼みだったところをちょっと広げて、米国株を普通に手に取ってもらえる世界を目指している。

       1|2|3|4 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.